【Vol.76】6.保険業におけるCSV

副主任研究員 吉田 順一

I.CSVとは

近年、CSV(共通価値の創造)という、ビジネス上の経済的価値のみならず社会的ニーズに対応することで社会的価値も創造するという概念・アプローチが普及してきている。消費者意識が高まる中、企業の戦略的アプローチとしてのCSVと従来型の取組みとの違いや重要となるケイパビリティについて紹介する。

II.保険業のコア領域に社会的価値の創造を組み込む

保険業は、保険カバー・プロテクトによって社会に便益をもたらすことが出来る。本章では、Shared Value Initiativeのレポートでの予防・引受・投資の3分類に基づき、保険業のコア領域に社会的価値創造活動を組み込むことで(バリューチェーンを再構築することで)CSVを実現している事例について紹介する。

III.慈善活動とエンゲージメント

本章では、保険事業とは直接関係のない慈善活動への顧客の参加を促進することで、顧客とのエンゲージメントを深める取組みを紹介する。これらの取組みは、必ずしも「共通価値」を創造しているとは言えないかもしれないが、社会的価値を創造し、それによって顧客エンゲージメントを深め、結果としてビジネス面における経済的価値に繋げようという点で興味深いものである。

IV.CSVにおける経験価値や心理学・行動科学の観点

顧客に選ばれるためには経験価値という概念は重要である。また、顧客に負担を感じさせずに、プログラムに則った行動をとってもらうためには、心理学や行動科学といった領域の知見が重要となる。

V.おわりに

保険業は保険引受によって社会を下支えすることができ、CSVを実現しやすい業種でもある。今後、保険会社の持続的な取組みによって、いくつかの社会的課題が解決されていくことを期待したい。

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