【Vol.78】2.Financial Well-beingと金融機関の取組

主任研究員 林 勝己

I.はじめに

先進国では、住宅価格や教育費などの生活費が上昇する一方、社会経済を支える中間層の所得は伸び悩み、経済的なストレスや不安が高まっている。そうした中、経済的健全性を確保し、将来の安定を図るFinancial Well-beingという概念が注目され、金融リテラシーの向上、家計管理や人生設計等を支援する取組が進められている。

II.Financial Well-beingとは

Financial Well-being(FW)とは、現在と将来にわたる経済的な健全性と人生を楽しむための選択の自由を確保することであり、その要因には世帯年収や人種、教育水準等の「社会・経済環境」、収支管理や貯蓄等の「家計管理」、このほか「金融知識と効果的な利用」、「人生設計」がある。収入が少なくとも、適切な家計管理や金融サービスを適切に利用すること等により経済的健全性を高めることができる。

FWが悪化すると物理的・精神的な健康を損なうリスクを高め、また、生活者個人だけでなく企業の生産性や経済活動など広く社会・経済に悪影響が生じる可能性がある。社会・経済の基盤となる中間層は、所得の伸び悩みと生活費の上昇などの経済的ストレスにさらされており、FW 向上をはかっていく必要がある。

III.Financial Well-being向上に関わる取組

国や企業、金融機関では、金融リテラシー向上のための教育や家計管理、人生設計に関する支援が行われており、本章ではFW向上を後押ししている事例をとりあげる。金融機関には、豊富なデータを活用した顧客の適切な家計管理や人生設計を支援する金融サービスを提供することが期待されている。

IV.おわりに

金融機関のFW向上に関わる取組は、企業価値を高め、厳しさが増す事業環境の中で顧客から必要な存在として選ばれるために必要なものと考えられる。

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