【Vol.83】1.通貨に押し寄せるデジタル化の波 ~中央銀行デジタル通貨を中心に~

フェロー 隅山 正敏

Ⅰ.はじめに

デジタル化の波が「取引→支払→通貨」に押し寄せ、通貨のデジタル化は「民間発行(仮想通貨)」から「中央銀行発行(CBDC)」に舞台を移した。

Ⅱ.取引のデジタル化

「取引のデジタル化(電子商取引)」は消費者側の通信環境が制約となり1990年代末に苦境に陥った。
その中で試みられた「新たなデジタルな支払」は実用に至る前に頓挫し、電子商取引が成長する2000年代を迎えられなかった。

Ⅲ.支払のデジタル化

次世代の「デジタルな支払」は実店舗での利用を前提とする「電子マネー」として普及した。しかし販売者にとり支払を受けてから自分の口座に振り込まれるまでの「決済プロセス」を必要とした。プロセス簡素化を目指す動きの中から「通貨のデジタル化」が浮上した。

Ⅳ.通貨のデジタル化

「流通性」を備えた「デジタルな通貨」は民間発行が先行した。仮想通貨は価格の乱高下に悩まされ、ステーブルコインは価格の完全な安定を実現できず、「通貨」たり得なかった。その中で世界的に通用する可能性を秘めた「グローバル・ステーブルコイン」が出現し、「通貨」への道筋が見えた。

Ⅴ.中央銀行デジタル通貨に関する論点

危機感を抱いた中央銀行は自ら発行するデジタル通貨(CBDC)の検討を開始した。様々な議論がある中、どのような事情が生じるとCBDC発行を迫られるのか(発行の必要性)、準備なしでCBDCを発行するとどのような混乱が生じるのか(事前準備の必要性)の2点が重要である。

Ⅵ.中央銀行デジタル通貨に関する各国取組み

中央銀行の9割がCBDCに関する作業を進める。そのうち発行事例では「デジタルな支払」に向けた起爆剤としてCBDCが発行されたように見える。準備事例では、国内に特有の事情を抱える国が積極的に準備を進め、そうした事情のない国は、外部要因によりCBDC発行を迫られることを懸念して「混乱のない発行」のための準備を進めている。

Ⅶ.おわりに

何を「デジタル化」するかという視点に立つと「支払のデジタル化」(キャッシュレス)と「通貨のデジタル化」(CBDC)と別物である。「デジタル化」は「取引→支払→通貨」の順で一直線ではないものの絡まり合いながら進んだ。いずれも「位置づけ」や「推進力」が異なり、その違いを認識した上で適切な「実行戦略」を立てる必要がある。これは「デジタル化」一般に当てはまる。

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