2025年のゴールデンウィークの旅行需要
~低調な推移と考える3つの理由~
ゴールデンウィークが近づいている。例年多くの消費者が大型連休を活用して観光を楽しむ時期であり、観光産業にとっては書き入れ時の一つである。しかし、筆者は今年のゴールデンウィークの旅行需要は3つの理由から低調に推移する可能性が高いとみている。
第一に、消費マインドの悪化が挙げられる。消費者態度指数は悪化傾向での推移が続いており、最新の3月分データ1をみても、家計の消費マインドの悪化が示されている(図表1)。今後は、トランプ関税の影響が反映されることで、消費者態度指数の更なる悪化が想定される。昨今の消費動向をみると、家計の節約志向が高まる中で、支出全体に占める教養娯楽の割合の低下がみられている2。こうした動きは今年も強まる可能性が高く、娯楽産業の代表格である観光需要の低迷に繋がることが見込まれる。
第二に、旅行単価の上昇が挙げられる。日本人国内宿泊旅行についてみると、旅行単価は上昇傾向での推移が続いている(図表2)。冬季賞与の増額等による追い風のあった2024年10-12月期を除き旅行者数は2019年比マイナスでの推移が継続しており、旅行単価の上昇が旅行需要を押し下げていることが示唆される。人手不足や売上原価の高騰は続いており、旅行単価の上昇が旅行需要を押し下げる動きは続くことが見込まれる。
第三に、日並びの問題が挙げられる。今年のゴールデンウィークは、カレンダー上の連休が5月3日(土)~6日(火)の4連休と比較的短く、4月29日(火)が飛び石での祝日となるなど、旅行日程を組み立てにくい日並びとなっている。こうした日並びの悪さは、上述の消費マインドの悪化や旅行単価の上昇と相俟って、ゴールデンウィークの旅行需要を押し下げることになるだろう。
個人消費が振るわない中、ゴールデンウィークにおける観光消費の増加が期待されるが、消費マインドの悪化・旅行単価の上昇・日並びの悪さによって、2025年の観光消費は低調な推移が予想される。とりわけ、消費マインドの悪化については相当程度長引く可能性があり、ゴールデンウィークのみならず、2025年の旅行消費の下押し圧力となることも想定しておく必要があるだろう。

- 調査票回収期間は3月6日~21日。
- 生活必需品が高騰する中、家計は何を節約しているのか(https://www.sompo-ri.co.jp/topics_plus/20250304-16846/)