マクロ経済・公共政策 物価高で減少する飲料消費
物価高で減少する飲料消費
~過度な節約による熱中症リスクに用心を~
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飲料価格が高騰する中で、家計の飲料消費が減少している(図表1)。飲料価格については、原材料費や輸送費、エネルギー価格の高騰を背景に上昇し、前年比の伸び率は2021年後半頃からプラス圏での推移が続き、足もとでは約7%の伸びとなっている。同時期に、家計による飲料消費が減少している。毎月勤労統計によると、実質賃金はマイナス圏での推移が続いており(図表2)、物価高による家計の節約行動が飲料消費に及んだものと考えられる。
物価高は日本経済における大きな問題であるが、昨今の気温上昇は健康上の大きな問題である。東京都の気温は上昇傾向で推移しており(図表3)、水分補給の重要性はこれまで以上に高まっている。過度な節約によって飲料消費を減らすことは、健康に悪影響を及ぼすことに繋がりかねない。消防庁のデータをみると、7月の熱中症による救急搬送人員は増加傾向で推移しており(図表4)、酷暑による悪影響が広がり続けている。
今年も厳しい暑さが予想されており、熱中症リスクの高まりが警戒されている。物価高による節約志向もまた高まっているが、健康上の危険を考慮し、飲料やエアコンなどの暑さ対策へのコストを過度に削減することがないよう、政府による電気・ガス代への補助金等を活用しながら、酷暑を乗り切っていく必要があるだろう。

