マクロ経済・公共政策

コンタクトを買う若年層、眼鏡を買う高齢層

上級研究員 小池 理人

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 2000年以降、コンタクトレンズの購入金額が増加する一方で、眼鏡の購入金額が減少することで、両者の購入金額の差は縮小傾向で推移していたが、眼鏡の購入金額は底堅く、全体でみると両者の差は2010年代後半以降ほとんど変化していない(図表1)。
 ただ、年代別に見ると、異なる様子が浮かび上がる。若年層ほどコンタクトレンズの購入金額が大きく、高齢層ほど眼鏡の購入金額が大きくなっている(図表2)。コンタクトレンズの購入金額が眼鏡の購入金額を上回る時期も、年代によって異なる。いずれの年代も2000年時点では眼鏡の購入金額がコンタクトの購入金額を上回っていたが、29歳以下については2002年に、30~39歳については2007年に、40~49歳については2012年に、50~59歳については2019年に、それぞれコンタクトレンズの購入金額が眼鏡の購入金額を上回っており、若いほど早い時期にコンタクトレンズの購入金額が眼鏡の購入金額を上回ったことが示されている。
 他の業界と同様に、眼鏡・コンタクトレンズ市場においても、少子高齢化によって国内市場の縮小が見込まれるものの、裸眼視力1.0を下回る子供の割合は上昇しており(図表3)、眼鏡・コンタクトレンズ市場の縮小には一定程度の歯止めがかかることが期待される。しかし、若年層の眼鏡離れが今後も続くのであれば、足もとで底堅い動きを示している眼鏡市場で、急速に市場が縮小する展開も懸念される。Zoffがメガネスーパーを買収することが発表され、眼鏡業界に再編の動きが見られる中で、若年層の眼鏡購入金額に変化が生じるのか否かが注目される。

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