JACTIM(マレーシア日本人商工会議所)金融部会にて、新添上級研究員が米中日欧・ASEAN地域の自動運転をテーマに講演を行いました(2025年10月15日開催)
JACTIM(マレーシア日本人商工会議所)金融部会にて、上級研究員:新添麻衣が自動運転をテーマに講演を行いました。
■2025年10月15日開催 ⇒【リンク】
■演題:無人車が世界を走る日:米中主導のレベル4自動運転と東南アジア市場の最前線
~輸出始める米中勢、東南アジアでの社会実装の進展は?~
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東南アジアの中では、シンガポールが自動運転に関する法整備を進め(2017年2月に道交法改正)、世界の中でも最初期の実験フィールドの1つとして機能してきました。コロナ禍以前には、海外から様々な車両がシンガポールに持ち込まれ、海外のメーカーと現地の大学・企業との共同研究が行われていました。
しかし、限定的なエリアでの走行や低速小型の車両を用いた実験が多く、そこから公共交通として社会実装される道筋は見えた事例は乏しかったようです。
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そこへ、2025年に入って中国の自動運転企業の進出が始まり、実用的な自動運転バス、自動運転タクシーの実現に向けた動きや、ロードスイーパー(道路清掃車)、配送ロボットなど特種車両の活用の兆しが見えてきました。
最も注目すべきは、現地の配車アプリ大手Grab と 中国のスタートアップWeRideの戦略的提携です。
米国の一部の都市では、配車アプリ大手のUber・Lyftが自動運転タクシーのWaymoと組み、配車のマッチングサービスだけでなく、車両のメンテナンスやフリート管理という新たな事業を手掛けるようになっています。Waymo側も人手を要するオペレーション部分の外部委託には躊躇がありません。
将来的な東南アジアへの自動運転サービス普及を視野に入れ、まずはシンガポールを皮切りにGrab × WeRideは、Uber/Lyft × Waymoと同様のパートナーシップを組みました。配車のマッチングだけでなく、実証実験に関わる人材、遠隔監視者を担える人材、車両の管理やメンテナンスを担える人材を、元々Grabが設置する人材育成・職業訓練プログラムであるGrab Academyの中で行います。
現地タクシー会社と中国Pony.aiの提携も発表され、自動運転タクシー「Apollo Go」を展開するBaiduもASEAN各国政府に接触していることを隠していません。
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マレーシア、インドネシア、タイ、ベトナムでも経済特区・技術開発特区、新たに建設した都市での自動運転の実証実験が始まりつつあります。これらの国では、現状の公共交通網が未発達であること、先端産業を自国で育成したいこと、マイカーや2輪・3輪で大渋滞の自国の交通網を環境負荷の低いシステムに移行させたい政策的な野望があることなどから、自動運転技術を活用したバスやタクシー、またARTへの期待が大きくなっています。
こうした機会を中国政府・中国企業は見逃さないと考えられますが、2030年代に向けて、ASEAN地域での自動運転サービスの発展が期待されます。
~以上~