マクロ経済・公共政策

たばこ税が2026年4月に引上げへ

上級研究員 小池 理人

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 防衛費増額の財源とすることを目的として、2026年4月にたばこ税が引上げられる。今回対象となるのは加熱式たばこであり、紙巻たばこよりも税率の低い加熱式たばこの税率を、今年4月と10月の2段階に渡って引き上げることで、両者の税負担差を解消することも狙いの一つとなっている。
 防衛費増額の財源としての期待が高まるたばこ増税だが、増税による税収の増加は期待し難い。過去にも複数回に渡るたばこ増税が実施されてきたが、その度にたばこ離れが生じ、消費数量が落ち込んできたからだ(図表1)。加熱式たばこは紙巻きたばこと比較して税率が低いことを一因として売り上げを伸ばしてきたこともあり(図表2)1、今後実施される税率の引き上げは、過去に紙巻きたばこでみられたのと同様に、販売数量への下押し圧力となるだろう。
 とりわけ、低所得者層への売上は大きく減少することが予想される。過去に実施された度重なるたばこ増税によって、たばこ価格は大きく上昇した(図表3)。それに伴い、低所得者層においては、2000年時点と比較して、たばこの消費金額が大きく減少している(図表4)。消費数量でみても、最も年収の低い層である年収五分位1の落ち込みは大きく、最も年収の高い層である年収五分位5を大きく下回っている(図表5)。かつて低所得者層の嗜好品というイメージの強かったたばこだが、価格上昇に伴い、高所得者層の嗜好品へと変化している。
 地政学リスクが高まる昨今、防衛費の増額は喫緊の課題である。たばこ増税が税収増に繋がってこなかった経緯を考えると、今後予定されているたばこ増税も税収増に繋がらないと考えるのが自然である。その場合、現実的な防衛費の財源を新たに確保することが求められることになるだろう。

  • 税率以外にも、煙が出ないことやにおいが少ないことも売上増加の理由として挙げられる。

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