マクロ経済・公共政策

エアコンの2027年問題
~新基準エアコンに買い替えるのは損か得か~

上級研究員 小池 理人

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 エアコンの2027年問題が注目されている。エアコンの2027年問題とは、2027年4月から家庭用エアコンの省エネ基準が引き上げられることで、新基準を満たさないエアコンの製造・販売ができなくなることを指す。新基準を満たさないエアコンには、比較的価格の低いエアコンが多いことから、安価なエアコンが店頭から消えることへの危機感や駆け込み購入の必要性についての声をしばしば耳にする。実際には、新基準エアコンと旧基準エアコンのどちらを使用するのが合理的な選択となるのだろうか。
 一般に、新基準エアコンは、旧基準エアコンと比較して高価である。性能面で優れた新しいモデルであるからだ。一方で、新基準エアコンは省エネ性能に優れているため、その分電気代を節約することが可能になる。新基準への買い替えが経済的に合理的な選択となるためには、「新基準エアコンと旧基準エアコンとの差額<新基準エアコンによる節約効果」となることが必要になる。
 あくまでイメージではあるが、以下では具体的な数値をもとに試算を行う。14畳用エアコンの本体価格が新基準で19万円(年間消費電力1,150kWh)、旧基準の本体価格が12万円(年間消費電力1,450kWh)、電力単価はいずれも35円/kWhとする。その場合、本体価格の差は7万円で、電気代の年間節約金額は1.1万円となる。新基準エアコンが旧基準エアコンよりも7万円高い分は約6.7年で回収され、その後は節約効果の1.1万円が毎年浮くことになる。エアコンの平均的な寿命が10年程度とされていることを考えると、この場合は新基準エアコンを購入することが合理的であると言える。
 もちろん、上記の試算はあくまでも一つのケースであり、実際の本体価格や性能は多種多様であり、世帯ごとの利用頻度も異なる。例えば、仕事等で家にいないことの多い単身者にとっては、旧基準エアコンを駆け込みで確保することが合理的な判断となる場合が多いだろう。一方で、常時エアコンを稼働させる世帯においては、省エネ効果が早期に本体価格差を上回る可能性が高く、新基準エアコンに買い替えることが合理的な判断となり得る。
 また、イラン情勢も本件に少なからず影響を及ぼす可能性がある。イラン情勢を背景とした原油価格の高騰は、電気代の値上げに直結する問題であり、新基準エアコンを利用することによる電気代の節約効果は、上記試算以上に大きくなる可能性が高い。現時点で先行きは不透明であるが、1バレル75ドル近辺で推移する原油価格が、ロシアによるウクライナ侵攻時の110ドルや2008年の140ドルに達する可能性も否定できず、省エネ対応のエアコンを確保することの有用性も増してきている。
 エアコンの2027年問題は夏に向けて更に注目を集める話題となることが予想されるが、自身が保有するエアコンの状態や使用頻度、新基準エアコンの価格・性能等の情報を十分に考慮した上で、冷静に買い替えか否かを判断することが重要になるだろう。

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