マクロ経済・公共政策

若者は何にお金を使っているのか

上級研究員 小池 理人

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 若者の車離れや酒離れなど、若年層の消費が様々な品目で減少していることを耳にする。本稿では総務省が公表する家計調査の年齢階級別データを用いて、29歳以下の若年層が何にお金を使っているのかを明らかにしていく1。なお、その判断は、全支出に占める各品目分類への消費割合が全世代のそれをどの程度上回っているかを基準とする。
 若年層の支払割合が全世代平均と比較して大きい品目分類のトップ10は下図の通りである(図表1)。比較対象として、25年前のトップ10も付している。両者に共通しているのは、家賃が他品目と比較して突出している点だ。若年層の持家率は今も昔も低いため(図表2)、おのずと消費支出に占める家賃のウエイトは大きくなる。
 過去と現在とで最も異なっている点は、自動車等関係費だ。2000年では全世代平均と比べて5.6%ptも全支出に占める割合が高かったが、2025年では逆に▲0.7%ptと低い割合になっている。巷で言われているような若者の自動車離れの動きは、家計調査の数字からも確認することができる。
 一方で、現在の方が過去と比較してウエイトが上昇している品目分類もある。代表的なものが諸雑費であり、その内訳をみると、とりわけ保育費用のウエイトが大きく上昇している(2000年:0.2%→2025年:1.8%)。保育料無償化などの政策的な後押しがあるものの、共働き世帯の増加(図表3)によって、育児の外部サービス利用が広がっている可能性がある。加えて、家庭用耐久財や家事雑貨、設備修繕・維持、寝具類なども支出割合が上位に食い込んでおり、若年層が「家の中」にお金を使う傾向があることが示されている。コロナ禍を経てテレワークが普及したことによって、住環境がこれまで以上に重視されるようになったものと推察される。
 若年層の消費動向を巡っては上の世代と比較して減少した部分について注目されがちであるが、消費全体から俯瞰すると、生活環境や価値観の違いによって支出構成が変わっている様子が浮かび上がる。こうした変化を把握することは、賃上げの恩恵を受けやすい若年層が、上昇した賃金を何に消費するか考える上で、大きなヒントとなるだろう。

  • 本稿では二人以上の世帯を対象にしており、単身世帯は含まれていない点に留意する必要がある。

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