「過去最高の企業利益」と「過去最低の売上高原価率」
本日、財務省から公表された法人企業統計をみると、企業の経常利益が過去最大となっている1(図表1)。中東情勢による影響が本格的に及んでいない状況の中ではあるものの、企業業績の好調さが示されている。
大きな要因となったのは売上高原価率の低下だ。世界的なインフレや為替の円安推移を背景に売上原価には強い押し上げ圧力があったものの、企業による値上げが進展したことなどから、売上高原価率は統計で確認できる期間において過去最低となっている(図表2)。
企業による価格転嫁は、コロナ禍で積み上がった貯蓄や近年の賃上げ(図表3)によって名目での可処分所得が増加したことなどから、過去にほとんど実現できなかった値上げが消費者に受け入れられたことが背景にあると考えられる。
ただ、今後も企業が同じように値上げを進められる保証は無い。中東情勢の悪化によって消費者マインドは大きく低下しており(図表4)、消費者の購買余力はこれまで以上に低下している可能性がある。
今後、中東情勢によるエネルギーコストの上昇やサプライチェーンの混乱を背景としたコスト増が本格化していくことが見込まれる。企業の中には低価格を打ち出す戦略や容量を増やす戦略など、逆張り的な動きを見せるところもあり、企業がこれまでと同様の値上げを進めれば、顧客離れを生じさせる可能性も否定できない。過去最高の企業利益が話題になる中でも、その継続性については慎重に見極める必要があるだろう。
- 4四半期移動平均