梅雨と傘と中東情勢
関東甲信や東海が梅雨入りし、本格的な梅雨の季節を迎えている。梅雨の時期に需要が増える品目の代表格として、傘が挙げられる。傘の購入数量は梅雨の期間である6月と7月に大きく増加する(図表1)。近年は突発的に雨が降ることも多く、想定外の傘への支出を余儀なくされた人も少なくないだろう。
傘に関して頭が痛いのが、中東情勢を背景とした価格上昇圧力の高まりだ。中東情勢の緊迫化によってナフサ不足が生じ、サプライチェーンの混乱が生じていることが世間を騒がせているが、その影響は傘にも及ぶ。
傘は傘生地や持ち手、先端部分など多くの部分にナフサ由来の素材が使われており、価格上昇圧力が及びやすい。実際、過去のナフサ価格上昇局面では、タイムラグをもって傘価格も上昇しており、ナフサ価格の高騰が傘価格の押し上げに作用した可能性がある(図表2)。
当時はナフサ価格の上昇ペースも緩やかであったため、小売価格に反映されるまでにはタイムラグがあったが、今回のナフサ価格の高騰は過去と比較しても急激なものとなっており、早期の価格転嫁が行われる可能性も否定できない。当時と今とを比較すると、ナフサという品目の存在と不足感について、最終消費者も含めて認識が広がっていることも価格転嫁を行いやすい要因となるだろう。
もちろん、傘のコストはナフサ由来の素材のみで構成されるものではないが、傘の骨組み部分などの他の部分についても価格上昇圧力が及びやすく、物流費や人件費、為替動向なども押し上げ要因となることを考慮すると、傘価格の上昇は避けられないだろう。
消費者にとって傘は生活必需品であり、とりわけ梅雨の時期は購入を避けられない品目である。地理的に遠い中東情勢の緊迫化と我々の日々の暮らしの繋がりを示す、身近な経済の動きと言えるだろう。