約40年ぶりの円安局面で為替介入は実施されるか
円安が大きく進行している。ドル円レートは一時164円台目前に迫り、約40年ぶりの円安水準となっている。
背景にあるのは、物価上昇圧力の高まりと雇用の改善だ。親イラン組織のフーシ派による船舶攻撃によって原油価格が大きく上昇したことで、物価上昇圧力は一段と増している。一方で、米新規失業保険申請件数は18.7万件と1969年以来の低水準となっている。物価上昇圧力が高まる中で、労働市場が安定していることが示されたことで、FRBがインフレ抑制に注力しやすい環境が整ってきている。
円安が進行することで、注目を集めるのが為替介入の動向だ。片山財務相は為替動向について「必要に応じ、必要があれば果断に行動する」と述べているが、筆者は今局面において為替介入が行われる可能性は低く、行われたとしても効果は限定的なものに止まるとみている。
理由は、今回の円安ドル高が、円が弱いことによるものではなく、ドルの強さによって生じたものであるからだ。2024年と2026年に為替介入が行われた時を振り返っても、為替介入が行われた時期は、ドルインデックス(主要通貨に対するドルの強さ)が低く、かつ円が安い時、すなわち円安が主因となって円安ドル高が進行した時であった(図表1、図表2)。為替介入によって世界的なドル需要の増加に伴うドル高を抑制することは困難であるが、円安を抑制することは比較的効果が出やすいからだと考えられる。
現在の円安ドル高局面はそれとは逆で、明らかに米ドル高に起因するものだ。米国との協調介入ならともかく、日本単独の為替介入では円安ドル高を是正する効果はほとんど見込めないだろう。為替介入は実施されず、一段と円安が進行する展開を想定しておく必要がある。