マクロ経済・公共政策

旅行需要は夏から秋へ

上級研究員 小池 理人

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 夏休みとシルバーウィークが終わり、旅行需要が過ぎ去ったと考える向きも少なくない。しかし、統計データをみると、昨今の旅行需要は夏から秋へと移りつつあることが示されている。コロナ前の2019年から2025年への変化をみると、延べ宿泊者数が夏に減少し、秋に増加している様子が浮かび上がる(図表1)。
 理由として考えられるのが、酷暑の常態化だ。日本の年平均気温偏差は、このところ高くなっており、とりわけ、2023年以降は特に気温の上昇が目立っている(図表2)。熱中症リスクや体力的な負担を考慮し、夏の旅行を避ける動きが強まっているものとみられる。
 需要が夏から秋へと移る動きは、海外からの旅行者数においても確認できる。訪日外客数を2019年から2025年への変化をみても、夏に減少し、秋に増加する動きが示されている(図表3)。梅雨や酷暑を避けて、観光に適した秋を旅行時期として選択しているものとみられる。
 こうした需要の変化に伴い、宿泊料にも変化が生じている。宿泊料について2019年から2025年への変化をみると、夏の価格が低下し、秋の価格が上昇しており、ピークの8月の価格に10月・11月の価格が迫っている(図表4)。需要が夏から秋へと移り変わる中で、宿泊料の設定にも、その影響が反映されつつあると言える。
 観光需要が夏に集中する状況から秋へと分散が進むことは、事業者にとっては経営の安定化、宿泊者にとっても混雑の緩和という観点から、望ましいと言える。旅行者のマインドや市場の構造が変化する中、観光業はそれに合わせて変化していくことが求められる。

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