【Vol.76】5.損害保険における金融ジェロントロジーの活用~損害保険の高齢顧客対応の将来像を探る~

主任研究員 岡島 正泰

I.はじめに

高齢化に伴い、金融機関の高齢顧客対応に様々な課題が生じている。その課題への対応に、高齢化に伴う金融分野の課題を医学、社会学、テクノロジー等の様々な学問分野から学際的に捉える「金融ジェロントロジー」という学問が活用されている。損害保険会社が、金融ジェロントロジーを活用してどのように高齢顧客対応に取り組んでいくべきか検討する。

II.高齢化に伴い金融機関で生じている課題と原因

金融機関では、認知能力が低下した高齢顧客への対応や、高齢顧客の消費者被害・詐欺被害の防止等が大きな課題となっている。この課題は、認知症患者の増加等の社会環境の変化、成年後見制度等の認知能力が低下した高齢者を支援する制度の利用者数の伸び悩み、それによる家族や制度による支援を受けられない高齢者の増加、高齢顧客の保護に関する法規制の強化等が原因となり生じている。

III.金融ジェロントロジーを活用したサービス等の動向

金融機関の高齢顧客対応の課題とその原因を、金融ジェロントロジーを活用して解決しようとする取組が始まっている。高齢顧客の認知能力の判定、認知能力が低下した高齢者の金融取引の支援、金融機関職員等の教育、認知能力が低下した高齢者を支援する制度を補完するサービス、金融業界の枠を超えた地域連携等の取組が注目される。これらを概観した上で、それぞれの取組に金融ジェロントロジーがどのように活用されているかを紹介する。

IV.損害保険における金融ジェロントロジーの活用

損害保険の高齢顧客対応の取組は、損害保険代理店制度等の事業特性を踏まえながら、金融ジェロントロジーを活用して進んでいくと考えられる。

V.おわりに

認知能力が低下し家族や制度による支援を受けられない高齢者が増加しているという社会的課題に対する、損害保険会社による新たな価値提供の在り方を探るため、今後も金融機関および損害保険会社における金融ジェロントロジーの活用事例について調査を継続していきたい。

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