【Vol.76】7.変わりゆくビジネスと人権~ESG の主要課題としての労働者の人権への配慮~

主任研究員 大沢 泰男

I.はじめに

国際社会の掲げるSDGs目標の一つである「働き甲斐のある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)の促進」について、いまだに多くの課題が残されている実態が見えてくる。本稿ではこれまでの「ビジネスと人権」の関係について概観するとともに、今、何が企業に求められているのか、その問題について考えてみたい。

II.なぜビジネスにおいて人権問題が取り上げられるのか

多国籍企業による発展途上国での人権侵害や労働搾取は依然として未解決の問題である。それに加えて、ミレニアル世代の台頭や情報化・デジタル化の進展、企業マインドの変化がビジネスと人権問題を取り巻く環境を変えつつある。

III.ビジネスと人権に関する仕組みづくりが進む世界

国際社会においても企業における人権問題に対する義務を強める動きがある。「ラギー報告書」や「ビジネスと人権に関する指導原則」を受けて各国政府におけるルール作りが始まっている。

IV.発展途上国では何が起きているのか

過去に生じたアンフェアな競争を発端とした悪循環は、好循環へと転換しつつある。ただ、企業にはステークホルダーから終わりのない問いを投げかけられている。

V.先進国で顕在化しはじめた問題

先進国においても形を変えた労働搾取が進みつつある。また、社会におけるデジタル化の進展は、企業と労働者の在り方について新たな問題を提起している。

VI.ESG投融資における企業の人権問題に対する見方の変化

企業に対する資金の出し手である金融機関や投資家は、ビジネスにおける人権問題にも注視し始めている。企業はESGという観点で、環境問題と同様に実効性のある対応を求められる可能性がある。

VII.おわりに

企業はビジネスにおける人権問題について能動的な取り組みが求められている。また、法律や規制を順守するだけではなく、持続可能な社会を築いていく一員として、積極的な関与を続けていく必要がある。

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