【Vol.88】 非財務情報開示が迫る企業行動の変容 ~国家成長戦略と企業情報開示~
Ⅰ.はじめに
国家成長戦略に取り上げられて企業情報開示ルールが脚光を浴びている。開示を義務づけて企業の取組みを促すという「使われ方」がなされている。
Ⅱ.国の成長戦略と企業情報開示ルール
開示ルールを初めて取り上げた成長戦略2015では「攻めの経営」を経営者に迫るツールとして使われた。成長戦略2017でESG情報開示が、成長戦略2021で人的資本開示が加わった。
Ⅲ.ガバナンスに関する取組み(ESGのうちG)
「経営者の見方」と「経営リスクの管理」で開示が進んでいる。前者では「攻めの経営」を迫る使われ方がなされ、後者では他社の好取組を見た企業を「高みを目指す競争」に誘導するよう使われる。
Ⅳ.社会課題に関する取組み(ESGのうちS)
かつてはCSRを旗印に社会・環境課題への取組みを推奨したが、そうした取組みが当たり前になり、CSR論議は下火になっている。社会課題では「社内」と「社外」で起きる人権侵害が問題化している。この分野では企業取組みを義務づけることに代えて、開示を義務づけ、「取り組んでいない」という開示を躊躇する企業が「取組みの実施」を選ぶよう誘導している。
Ⅴ.環境課題に関する取組み(ESGのうちE)
企業の取組みは「環境汚染」「地球温暖化」「資本財としての自然(生物多様性)」で展開されている。この分野では「関係者との対話」のツールとして開示ルールが使われている。また、先進的な企業が取組みを開始し、開示ルールにより世間に情報を広め、取組企業を増やすというメカニズムも働いている。
Ⅵ.人的資本に関する取組み
人的資本論自体は古くからあるが、近年は「ヒトが企業価値を生み出す」という点を中心に議論されている。わが国の開示ルールでは「人材の多様性」への偏りが懸念材料となる。また、経営者に検討を迫るツールとして使われている。
Ⅶ.おわりに
開示ルールは①取組みの間接的な強制、②他社比較を通じた取組み強化、③関係者との対話を通じた取組みの高度化という3つの使い方がある。目の前の開示ルールだけでなくその分野の企業取組みの歴史や開示ルールの変遷を押さえ、自社の成長戦略に繋げるべく開示ルールを読み解く必要がある。
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