【Vol.88】 高市政権が進める「秩序」重視の外国人政策 ~国民の安心・安全を確保しつつ外国人と共に生きる社会を~
Ⅰ.はじめに
高市政権下で、秩序を重視した外国人政策への取組が進みつつある。本稿では、これまでの外国人政策を振り返るとともに、近年の重要な政策として、育成就労の創設等が盛り込まれた2024年の入管法改正について概説する。その上で、秩序重視の外国人政策の具体的内容を解説し、今後を展望する。
Ⅱ.わが国の外国人政策の全体像
わが国はこれまで、専門的・技術的分野の外国人を積極的に受け入れる一方、現業作業の領域でも、技能実習や特定技能を通じて一時的な労働力として受け入れを図ってきた。国は出入国・在留管理の適正化に努めるほか、日本人と在留外国人が文化的違いを認め合って共に生きる社会を目指す多文化共生についても、主に自治体を支援する形で取り組んでいる。
Ⅲ.近年の重要政策: 2024年改正入管法
2024年に入管法が改正され、2027年4月に施行される。制度目的と実態のかい離が指摘された技能実習は、育成就労に転換する。育成就労では、本人意向の転籍を一定条件下で認めるなど、外国人の人権に配慮した仕組みが講じられている。また、同法では永住許可制度も見直された。
Ⅳ.秩序ある共生社会に向けた政府の施策
今年1月に政府は「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」を新たにとりまとめた。この総合的対応策では、出入国在留管理や各種制度の適正化など「秩序」に係る施策が大幅に拡充された。なかでも日本語・社会制度の学習プログラムの創設方針は、従来にない取組として注目される。
Ⅴ.外国人政策の次なる展開
高市政権が今後策定する外国人政策のグランドデザインでは、現業作業の領域における外国人労働者の受け入れを抑制的にコントロールする方針が打ち出される可能性もある。しかし、人手不足が経済成長のボトルネックとなるような事態は避ける必要があるだろう。また、これまで高市政権では秩序に偏ったメッセージが目立ったが、目指す共生社会の姿やそこへの道筋も国民に示してもらいたい。
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