日刊工業新聞(2025年8月26日付)「深層断面/大手損保、新たな成長模索 テレマ保険で競争力向上」に、新添上級研究員の取材コメントが掲載されました。
日刊工業新聞(2025年8月26日付)「深層断面/大手損保、新たな成長模索 テレマ保険で競争力向上」に、 上級研究員:新添麻衣 の取材コメントが掲載されました。上級研究員:新添麻衣の取材コメントが掲載されました。
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<記事に関連して:保険業界でのテレマティクス活用の経緯を簡単に>
大手損保各社が取り組むテレマティクスデータを活用したサービスに関する記事です。
保険分野でのテレマティクスの活用は、特に米国と英国で先んじて進んできました。保険料設定の自由度が高い米英では、割引提供をメリットとして遡及した運転性向反映型の保険商品(UBI、Usage Based Insurance)が一定の支持を集めてきました。
こうした商品は、PHYD(Pay-how-you-drive、あなたがどのように運転したか=運転診断などドライバーの運転性向を反映した自動車保険)、PAYD(Pay-as-you-drive、あなたが運転した分だけ=実走行距離連動型の自動車保険)と呼ばれることもあります。
※英米では割引額も大きい分、事故を起こしたり危険運転が検知されると翌月や翌年に大幅な保険料の割増も行われます。
一方、日本では、等級制度などによってドライバーの事故歴などが保険料の割増引きに反映されており、テレマティクスで運転性向を計測したとしても、英米のような多額の割引を追加で提供することが難しく、テレマティクスを活用した商品は伸び悩んできました。
しかし、近年、日本の状況も様変わりしました。マイカーの分野では、あおり運転に対する防御策として、高齢ドライバーの運転技能の診断や安全運転のサポート役として、「運転中のデータを記録することで自分を守る」「データを記録することにメリットがある」という意識が根付いてきました。また、物流を支えるトラックの分野でも、従業員の勤務状況管理、安全運転促進のために、ドラレコの装着が進んでいます。損保各社では、このニーズにお応えすべく、スマートフォンの運転診断アプリの提供や、提携メーカーと開発したドラレコの提供(リース)を行っています。
この結果、運転診断や車両の走行状況等に関わるデータの蓄積も進んできていました。こうしたデータからは、事故多発地点などの運転の難所が炙り出されたり、陥没やひび割れといった補修が必要な道路の損傷をいち早く掴むことができます。こうした情報を安全運転支援やまちづくりに活かしていこうという新たなサービスの開発が進んでいます。もちろん、適切に匿名化などの処理を行ったうえでデータ活用は行われています。 ~以上~