2025年の土用の丑の日は盛り上がるか
土用の丑の日が近づいている。暑い夏を乗り切るためにうなぎを食べる伝統的な風習の影響により、例年7月にはうなぎの消費が大きく増加する(図表1)。2025年の土用の丑の日は7月19日と7月31日であるが、うなぎ消費は盛り上がりを見せるのであろうか。
筆者は今年の土用の丑の日は、例年以上にうなぎ消費が伸びやすいとみている。追い風となるのが、うなぎ価格の低下である。稚魚が豊漁であったことの影響により、全般的に食料価格が高い伸びを示す中においても、うなぎ価格は低下している(図表2)。土用の丑の日という需要期にうなぎが相対的に割安となることで、消費数量が伸びることが期待される。過去のうなぎ消費とうなぎ価格との関係をみると、両者は逆相関を示しており、うなぎ価格が前年比マイナスとなった年は、そのほとんどでうなぎ消費の伸びが示されている。現在公表されている1月から5月までのデータで2025年のうなぎ価格を2024年と比較すると、前年比▲2.3%となっており、例年通りの消費数量と価格の関係が維持されれば、うなぎ消費は増加することになるだろう。
ただし、注意すべきは実質賃金の減少だ。物価高の影響で実質賃金は減少しており、家計の購買力は低下している。うなぎ価格が低下したとしても、高級食材であるうなぎ消費を手控える動きが一部生じる可能性は否定できない。うなぎ価格の低下が追い風になり、うなぎ消費は増加するものの、実質賃金の減少が下押し圧力となることで、うなぎ消費の増加幅は限定的なものに止まるだろう。2025年の土用の丑の日は盛り上がりをみせるものの、うなぎのぼりとまではいかなそうだ。

