増加する猫飼育、減少する犬飼育
先週公表された家計調査において、ペットフードへの消費金額が単月で初めて1,000円を超えた(図表1)1。消費金額増加の背景にあるのが、ペットフード価格の急激な上昇だ。ドッグフード・キャットフード共に大幅な上昇となっており、総合指数と比較しても上昇ペースが突出している(図表2)。実質ベースでのペットフード消費は、価格上昇の影響等によって、2023年以降に多くの月で前年比マイナスとなっているものの(図表3)、単価上昇の割に消費数量の減少幅は限定的なものに止まり、消費金額が大きく増加したものとみられる。
しかし、今後もペットフードの消費金額の増加が続く展開は見込み難い。足もとでのキャットフード価格の上昇ペースは早く、猫の飼育頭数が増加する中において(図表4)、負担感は重くなってきている。一般社団法人ペットフード協会の調査2をみると、ペット飼育の阻害要因として「お金がかかる」のスコアが上昇していることが指摘されており、餌代の上昇が猫を新規に飼育することを控える要因となることが見込まれる。
また、年代別にペットフードの消費数量を2019年比でみると、若年層の消費が増加する一方で、高齢層の消費が減少する動きがみられている(図表5)。若年層においては、昨今の賃上げによって経済的な余裕が生じたことで消費が増加し、高齢層においては物価上昇に対して年金等の所得が追いつかないことで消費が減少しているものと考えられる。人手不足の影響で若年層に対する賃上げの動きは継続することが想定されるものの、そもそもの人口が少ない若年層が消費全体を押し上げることは困難であり、ペットフードの消費数量は、今後減少傾向で推移していく可能性が高いだろう。



- 二人以上の世帯のうち勤労者世帯。
- https://petfood.or.jp/pdf/data/2024/7.pdf