マクロ経済・公共政策

2025年夏のエッグショック

上級研究員 小池 理人

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 筆者が今年2月に発行したレポート「エッグショックがこの夏再びやって来る」1で論じた通り、鶏卵価格は大きく上昇し、2023年のエッグショック時と同程度の水準にまで至っている(図表1)。それに伴い、鶏卵の消費数量は再び前年比でマイナス圏での推移となっている(図表2)。生活必需品の一つである鶏卵であるが、急激な価格上昇によって再び消費手控えの動きが生じ始めている。
 足もとの価格上昇は、今年冬まで続き、その後は収束するとみている。鶏卵の卸売価格を確認すると、前年比での伸び率は今年6月にピークをつけ、その後、縮小傾向で推移している(図表3)。鶏卵の卸売価格が小売価格よりも6か月程度先行していることを考慮すると、今後も同様に小売価格が推移するのであれば、消費者が手に取る鶏卵価格の伸びは年末頃にピークを迎え、その後は伸びが縮小していくだろう。
 家計支出全体における鶏卵の消費支出自体は大きくないものの2、鶏卵価格の上昇は、その購入頻度の高さから、消費者の体感的な負担感を重くしているものとみられる。8月公表の景気ウォッチャー調査をみても、「米、卵、肉などの食材の値上げが継続しており、景気はやや悪化している(コンビニ)」といった、食料価格の上昇が景気悪化の要因となっていることを示す発言がみられている。米類の価格については、備蓄米の放出等によって伸び率はピークを過ぎたように見えるが(図表4)、はっきりと沈静化するまでにはまだ時間がかかりそうだ。鶏卵についても、ピークを迎える時期が冬頃になることが見込まれるため、食料価格上昇に伴う個人消費への悪影響が緩和されるには、時間がかかることを覚悟しておく必要があるだろう。

  • https://www.sompo-ri.co.jp/topics_plus/20250217-16384/
  • 2025年上半期における消費支出全体に占める鶏卵消費のウエイトは0.4%(二人以上の世帯)

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