歴史的なユーロ高で苦戦が見込まれる2025年のボージョレ・ヌーボー商戦
 
 11月の第3木曜日はボージョレ・ヌーボーの解禁日であり、今年は11月20日が該当日となる。日付変更線の関係によって、本場フランスよりも早く解禁される日本において、毎年特に盛り上がりをみせるボージョレ・ヌーボー商戦だが、今年の商戦は厳しいものになることが予想される。
 理由として挙げられるのが、ワイン価格の上昇だ。物価上昇が進む中、ワイン価格も例に漏れず大きく上昇している(図表1)。足もとではユーロ/円レートが170円台後半で推移するなど、過去最高値を更新する歴史的なユーロ高となっており(図表2)、価格上昇に作用しているものと考えられる。ボージョレ・ヌーボーはフランスからの輸入品であり、ユーロ高が価格上昇にダイレクトに響くことになるからだ。一般に、ワインをはじめとした嗜好品は価格弾力性が高く、価格上昇によって需要が減少するとされている。歴史的なユーロ高はボージョレ・ヌーボー商戦に対する強い向かい風となるだろう。
 ここで、家計調査から確認できる過去のデータを確認すると、昨年のボージョレ・ヌーボーの解禁日での家計によるワイン消費は、コロナ前の2019年と比較して8割程度に止まっていた1(図表3)。昨年11月のユーロ/円レートが160円台近辺で推移していたことを考慮すると、今年は輸入価格が更に押し上げられることが想定され、ボージョレ・ヌーボーへの需要は更に抑制される可能性が高い。
 11月の風物詩となっているボージョレ・ヌーボーの解禁であるが、円安の進行を背景とした輸入価格の上昇によって、こうしたイベントや商機が下火になっていくことが懸念される。関連する事業者にとっては、例年以上にプロモーションに力を入れる必要があるだろう。
 
 
- 2024年と2019年共にボージョレ・ヌーボーの解禁日は11月21日。
 
             
            

