マクロ経済・公共政策

日経平均が高騰する中でも冴えない化粧品株

上級研究員 小池 理人

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 日経平均株価が高騰する中で、化粧品メーカーの株価は冴えない(図表1)。株価下落の要因としては、マクロ要因とミクロ要因とが存在するが、主要プレイヤーの株価が軒並み下落していることを考慮すると、マクロ要因に変化が生じている可能性が考えられる。そこで、貿易統計を用いて化粧品の動向をマクロ統計から確認すると、貿易収支の黒字幅が以前と比較して大きく縮小しているという変化が浮かび上がる(図表2)。
 化粧品1輸出についてみると、2015年頃から輸出金額が大きく増加している。背景にあるのは、訪日外客数の増加だ。化粧品の輸出金額は訪日外客数の後を追うように増加しており(図表3)、日本を訪れた際に日本の化粧品を購入した外国人が、帰国後も化粧品の利用を継続したことで、化粧品の輸入金額が増加したものとみられる。その後、韓国・中国の化粧品ブランドの人気拡大などを背景に、2021年をピークに化粧品輸出金額は減少傾向での推移が続いている。一方で、化粧品輸入については、増加傾向での推移が続いている。とりわけ、韓国からの輸入金額の増加ペースは著しく、10年前の30倍ほどの金額となっている(図表4)。
 化粧品の貿易収支の黒字幅縮小は、デジタルマーケティングを活用したビジネスの普及など、従来型の対面型販売が効きにくくなっている様子を映し出している。2025年は貿易黒字が小幅に改善したが安心はできない。日中関係悪化という大きな向かい風が存在するからだ。2026年の化粧品輸出は、日中関係の悪化の影響によって減少する可能性が高い。化粧品の輸出金額全体に占める中国の割合はここ数年の間、約5割で推移している(図表5)ことから、化粧品輸出全体への影響も当然大きい。輸出先の多様化や効果的なマーケティングの推進によって、日本製化粧品の売り上げを伸ばしていくことができなければ、化粧品の貿易収支赤字化も視野に入ってくるだろう。

  • 化粧品の対象品目は、財務省「日本の化粧品産業の展望」を参考にしている。

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