マクロ経済・公共政策

消費減税で更なる苦境が見込まれる外食産業

上級研究員 小池 理人

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 投開票が明後日に迫る衆院選を前に、ほとんどの党が消費減税を掲げている中で、とりわけ食料品への消費減税が注目を集めている。食料品への消費減税が実現されれば、食料とエネルギーが物価高の主要因である現状において(図表1)、消費者の負担は一定程度軽減されることにはなるだろう。
 一方で、懸念されるのは外食産業への影響だ。食料品への消費税率が0%となり、外食の消費税率が10%となり、両者の価格差が大きく開くことになれば、外食離れが進みかねない。コロナ禍において弁当やパン、おにぎりをはじめとした調理食品の消費が増加した一方で、外食消費は大きく減少した。こうした影響は2021年に最も色濃く生じたが、時間の経過と共に正常化に向かい、両者はようやくコロナ前に戻りつつあるところであった(図表2)。しかし、食料品への消費税率が0%になれば、再び調理食品が有利、外食が不利という構図が復活することが予想される。
 特に懸念されるのは、小規模な外食事業者への影響だ。資本力がある大手飲食事業者はテイクアウトの拡充をはじめとした柔軟な対応が可能であるが、小規模飲食事業者においては追加的な投資や労力をかけることは容易ではない。人件費が高騰する中で、人手不足が叫ばれる状況においても小規模飲食事業者は求人を減らすなど、現状においても疲弊の様子が伺える(図表3)。食料品への消費減税はこうした事業者に追い打ちをかけることになるだろう。東京商工リサーチの調査によると、2025年の飲食業の倒産件数は1,002件と過去30年間で最多となっている。消費減税の影響が倒産件数の更なる増加をもたらさないよう、減税が実施される場合には丁寧な制度設計が求められる。

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