マクロ経済・公共政策

「内食・中食・外食」に生じる変化

上級研究員 小池 理人

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 物価高によって家計の消費行動に変化が生じている。2025年と物価上昇前の2019年の消費ウエイトを比較すると、生活に余裕が無くなる中で、選択的支出が削減され、食料を中心とした生活必需品のウエイトが上昇する形となっている(図表1)。消費全体に占める食料のウエイトははっきりと上昇しているが、食料の内訳にも着目してみると、こちらにも変化が生じている。
 食料を内食・中食・外食に分類すると1、2019年と比較して、食料支出全体に占める外食のウエイトが低下している(図表2)。家計の節約志向の高まりが、単価の高い外食離れを生じさせている可能性が示唆される。一方で、中食のウエイトは上昇している。共働き世帯の増加による時短需要の増加に加え、コロナ禍での中食製品の品質向上や新たな顧客開拓が進展したことが背景にあるとみられる。そうした中、内食は小幅にウエイトが低下する形となっている。
 ここまでは、消費者全体を示した数字となるが、世帯年収別にみても、興味深い動きがみられている(図表3)。中食のウエイトが上昇している点は各年収区分で共通しているが、内食と外食では世帯年収による違いが顕著に表れている。
 外食については、最も年収の高い区分である年収五分位5のみウエイトが上昇しており、それ以外の年収区分においてはウエイトが低下している。とりわけ、年収の低い、年収五分位1と年収五分位2においては、まとまった幅でのウエイトの低下がみられており、所得対比での外食価格の上昇が消費を押し下げた様子がうかがえる。
 逆に、内食については最も年収の高い年収五分位5のウエイトが低下し、それ以外のほとんどの区分においてウエイトの上昇がみられている。多くの世帯において、内食を増やすことで食費を節約しようとする一方で、年収の高い世帯においては逆に中食や外食に置き換える動きがみられている。総務省の調査によると、家事時間の構成比として最も高いものは、男女ともに「食事の管理」となっており(図表4、5)、高所得層においては時間価値を重視した消費行動が取られている可能性がある。
 現在、食料品にかかる消費税率の引き下げが検討されており、食料品と外食との価格差の問題が指摘されることが多い。もし、食料品のみ消費税率が引き下げられ、外食対比での割安感が強まった場合、高所得層での内食・中食へのシフトが生じることも想定されるが、それ以上に低所得層における外食離れが生じやすくなるものとみられる。消費減税の動向次第では、所得による食事方法の違いが大きく拡大することが予想される。

  • 本稿では、総務省「家計調査」の品目分類での、「外食」を外食、「調理食品」を中食、「食料-外食-調理食品」を内食としている。

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