変化する旅行の同行者
物価高という旅行需要への向かい風に見舞われながらも、延べ国内旅行者数1はほぼコロナ前の水準にまで回復している(図表1)。そのような中、旅行の同行者については、ここ数年で変化が生じている。
観光庁が公表する「旅行・観光消費動向調査」では延べ旅行者数について、旅行同行者での分類がなされている。これを用いて、コロナ前の2019年と2025年とで、延べ旅行者数全体に占める各同行者分類の割合がどの程度変化したかをみると、身内(自分一人やパートナー含む)の割合が上昇する一方で、職場の同僚や友人など他人の割合が低下していることが分かる(図表2)。
背景には、家計の節約志向の高まりや価値観の変化があるものとみられる。昨今の物価高の中で、家計は節約を余儀無くされている。総務省「家計調査」が示す交際費は大きく水準を切り下げており、足もとでは2019年対比で2割強減少している(図表3)。旅行を含めた家庭外への支出は抑制的になっているものと推察される。加えて、職場の同僚については、働き方改革やコンプライアンス強化の流れの中で、公式・非公式を問わず、社員同士の旅行機会が減少しているものとみられる。
とりわけ、友人との旅行の減少や自分ひとりでの旅行の増加ははっきりとしたトレンドを描いており(図表4)、両者が入れ替わる日もそう遠くはないだろう。こうした変化を受けて、観光産業は、これまで費用対効果が悪いとされていたお一人様プランを拡充するなど、需要の変化に対して柔軟に対応している。自分自身や親しい関係のための旅行が中心となる中、旅行商品の在り方も変化していくことが予想される。
- 本稿では観光・レクリエーションを目的とした国内宿泊旅行と国内日帰り旅行の延べ旅行者数の合計値を「延べ国内旅行者数」としている。海外旅行については、コロナ禍においてサンプル数が少ないことを背景にデータの公表が無かったことから、対象にしていない。