マクロ経済・公共政策

暗雲立ち込める住宅建設

上級研究員 小池 理人

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 本日公表された景気ウォッチャー調査で、住宅関連DIが急速に低下していることが示された(図表1)。現状判断DI・先行き判断DI共に大きく低下しており、コロナ禍で1回目の緊急事態宣言が発令されていた2020年4月・5月よりも後の期間でみて、最も低い水準となっている。
 景気ウォッチャー調査で住宅関連事業者の現状に関するコメントをみると、「中東情勢により、物が高い若しくは入荷できないため、多くの現場に影響を及ぼしている」や「建築コストの高騰に加え、一部の建築資材に在庫の枯渇や納期の大幅な遅延が発生している」などが目立ち、価格上昇のみならず、資材不足も大きな打撃となっていることが確認できる。
 中東情勢悪化以前から、住宅着工の動きは弱かった。新築住宅に省エネ基準適合が義務化されたことに伴い、駆け込み着工とその反動というノイズは生じているものの、均してみれば水準はここ5年間で1万戸ほど切り下がっている(図表2)。
 住宅には断熱材や塗料、フィルムなどのナフサ由来製品が多く使われており、住宅産業は予想以上に中東情勢の影響を受けやすい業種とも言える。同調査の先行きに関するコメントでは、「一度停滞した受注が戻るには、相当な時間が必要である」などがみられており、仮に中東情勢が沈静化したとしても、住宅への影響が和らぐには時間がかかりそうだ。
 中東情勢の経済活動への影響は住宅産業だけではない。ポテトチップスの袋が白黒になったり、エアコンの入荷が遅れたりと、様々な業種において悪影響が多く報じられている。日銀による利上げを巡っては、昨日公表された主な意見で4月会合において利上げに積極的な意見が多くみられたことから、次回6月会合で利上げが実施されるとの見方が優勢になっている。ただ、4月会合の後、中東情勢による経済活動への悪影響が広がりをみせていることを考慮すると、更なる利上げが経済活動に過剰な負荷をかけるリスクも増してきている。ソフトデータで確認できる急激な悪化がどの程度ハードデータに反映されるのか、しっかりと確認していく必要があるだろう。

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