洗濯を巡る顧客ニーズの変化
~増えるコインランドリーと減るクリーニング店~
家計の洗濯代が減少している(図表1)。洗濯サービスの対価である洗濯代に対して、かつては年間1万円を超える支出がなされていたが、近年での支出金額は半分以下となっている。この間、クリーニング代は上昇傾向での推移が続いており、洗濯代に関して額面金額以上の変化が生じているものとみられる(図表2)。
洗濯代減少の理由として考えられるのが、クリーニング店からコインランドリーへの顧客の移動だ。施設数をみると、ここ20年でクリーニング店が減少する一方で、コインランドリーの数は増加する対称的な動きがみられ、2021年には両者が逆転している(図表3)。物価高を背景とした節約志向や共働き世帯増加による時短需要の高まりによって、クリーニング店からコインランドリーへと顧客が流れているものと考えられる。コロナ禍でテレワークが定着し、スーツやワイシャツの購入金額が減少したことで(図表4)、クリーニング店の利用機会が減少したことも理由として挙げられる。このことは、コロナ禍で洗濯代への支払金額の水準が一段切り下がったこととも整合的である。
今後、中東情勢の悪影響が顕在化する中で、家計の節約志向は更に高まることが想定される。そうなれば、これまで以上に単価の低いコインランドリーに顧客が流れやすくなることだろう。洗濯を巡る変化は顧客ニーズが仕上がりから低価格や時短へと移り変わっていることを示す象徴的な事例とも言える。節約や時短は消費者ニーズとして中核的なものとなりつつあり、洗濯業のみならず、他業種に同様の動きが広がっていくことが想定される。