マクロ経済・公共政策

ホテルを猛追する旅館

上級研究員 小池 理人

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 本日公表された第3次産業活動指数(季節調整値)において、ホテルの指数と旅館の指数が並んだことが示された(図表1)。同指数においては、2022年1月以降、ホテルが旅館を上回り続けてきたが、52か月ぶりにこうした状況が解消される形となった。
 ホテルの活動指数を巡っては、2022年10月の外国人観光客受け入れ再開以降、大きく水準を切り上げ、旅館との差が明確となった。増加する外国人観光客の受け入れ先として、ホテルが大きな役割を果たしていたことが推察される。もちろん、当時も外国人による旅館需要は存在していたが、インバウンド消費動向調査(2022年年間報告書)をみると、外国人観光客が「今回したこと」として「旅館に宿泊」を挙げた割合は16.9%と低い。
 こうした中、旅館についてはコロナ禍からの回復という文脈では指数の回復がみられたものの、2025年まではコロナ前の水準には及ばず、横ばい程度の動きが続いていた。しかし、2026年に水準を大きく切り上げ、足もとではコロナ前の水準にまで回復している。インバウンド消費動向調査(2025年年間報告書)をみると、外国人観光客が「次回したいこと」として「旅館に宿泊」を挙げた割合は33.5%に高まっており、外国人による旅館への関心度が高まっていることが示されている。英語への対応や食事時間の柔軟化など、インバウンド対策が徐々に実を結んでいるものとみられる。
 旅館によるインバウンド需要の取り込みは稼働率からもうかがえる。ホテルと比較してビジネス需要を取り込みづらい旅館の稼働率は低い水準となりやすいが、その中でも2026年2月以降は前年と比較してはっきりと水準が切り上がっている(図表2)。インバウンド需要が顕在化することで需要の平準化が進んだ可能性や、円安によって日本人の海外旅行需要の一部が旅館にシフトしたことなどが理由として考えられる。
 2022年以降の宿泊需要回復局面では、ホテルが主役となっていたが、足もとでは旅館にも回復の動きがみられている。ホテルと旅館の活動指数が並んだことは、宿泊需要回復の動きが広く波及し始めたことを示す象徴的な動きと言えるだろう。

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