マクロ経済・公共政策

物価高と体験格差拡大

上級研究員 小池 理人

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 夏休み真っ只中、街中では様々なレジャーに向かう子どもたちの姿を見かける機会が多くなった。そうした中、気になるのはテーマパーク価格の上昇だ。実は、テーマパーク価格の上昇は2022年以降のインフレ局面以前から進んでおり、2000年代後半からはっきりとした上昇傾向での推移が続いている(図表1)。帝国データバンクの調査1によると、2026年も約3割の施設が値上げを実施しており、こうした動きは今なお続いている。
 気がかりなのは、値上げによる格差の拡大だ。所得階級別に遊園地入場・乗り物代への支出金額をみると、値上げが行われる中で、高所得の階級である所得階級4(上位20%~40%)と所得階級5(上位20%)を除き、支出金額は横ばいとなっており、テーマパークへの実質的な訪問頻度が減少している可能性が示唆される(図表2)。直近では、所得階級4ですらも値上げについて来られなくなっており、テーマパークが誰でも訪れることができる場所ではなくなってきている。
 こうした動きはテーマパークに限った話ではない。コズレ子育てマーケティング研究所の調査2によると、物価高による子どもの体験機会の「あきらめ・縮小」について、「頻繁にあった」が11.0%、「時々あった」が36.3%の割合で挙げられており、年収600万未満の世帯がそれ以上の所得の世帯と比較して「頻繁にあった」の割合が高いことも示されている。
 物価高が長期化する中で、家計は限られた所得の中で優先順位をつけざるを得ない。食費や住居費といった基礎的支出の削減には限界があるため、選択的支出の代表格であるレジャー関連費は節約の対象となりやすい。とりわけ、所得の低い世帯ほどそうした動きが強く生じやすく、親の所得による体験格差の拡大は今後も生じやすくなる可能性がある。テーマパーク価格の上昇は、単なる物価上昇の一要素ではなく、物価高が体験格差にまで波及している象徴的な動きと言える。

  • https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260715-themepark26y/
  • https://cozre.co.jp/blog/20480/

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