高所得者を掴む洋菓子、掴めない和菓子
和菓子店が苦戦している。帝国データバンクによると、2026年1-9月の和菓子店の倒産件数(負債1,000万円以上、法的整理)は22件と過去最多ペースであったという。原材料高や人件費の高騰など、和菓子店を取り巻く環境は悪化しているが、それは洋菓子店も同じである。
和菓子店においては、高所得者を顧客として掴みきれていないことが弱点として挙げられる。家計調査で年収階級別の支出金額をみると、洋菓子においては所得が増えるほど消費金額が増加しているが、和菓子においては所得が増えても消費金額が増えていないことが示されている(図表1、図表2)。洋菓子では高付加価値化が進んでおり、高所得者の高級志向ニーズを掴んでいるが、和菓子においては日常的な茶請けのイメージから脱却できておらず、高所得者のニーズを掴みきれていない様子が示唆される。
もちろん、洋菓子店においてもコスト高の影響等から倒産件数は増加しており、厳しい状況であることは事実である。しかし、日本の経済環境がデフレからインフレへとはっきりと転換する中で、和菓子店が高所得層の購買力を取り込むような高付加価値化において出遅れていることは経営上の大きな課題であると言える。
今後は、特別な日に楽しむような高級和菓子やインバウンド客をターゲットとした新商品の開発など、客単価を大きく引き上げることが求められる。日本が誇る伝統文化や職人の技術を安売りすることなく、適切な対価を受け取れるようなマーケティングと価格転嫁が求められる。