シティ・モビリティ

Waymoアップデート①:トランプ政権下で中国Zeekr・韓国Hyudaiの新型車両の行方は?
~米国10都市に営業エリア拡大、車両の調達ニーズ高まる/CES2026(4)~

上級研究員 新添 麻衣

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Waymoは、前年に引き続き2度目のCES出展となりました。既存のジャガーI-PACEと2種類の新型車両の計3台の展示を主軸としたブースでした。

過去のレポートで既報のとおり、これまでWaymoが愛用してきたジャガー初のBEV「I-PACE」は終売が決まっており、ジャガーからWaymoへの最後の納車も2025年早々に終わっています※1。この最終納車分は2026年にかけて2,000台以上の自動運転タクシーに改造される予定でのため、在庫台数はそれなりにありますが、Waymoとしては次世代の車両の調達が必要な状況です。

  ※画像はいずれも筆者撮影

NHTSA(運輸省道路交通安全局)のデータによれば、2025年12月時点で、少なくとも3,067台のI-PACEが米国に配備されています※2。2025年までに営業運行を開始している都市は、フェニックス、サンフランシスコ、ロサンゼルス、オースティン、アトランタの5都市ですが、このうちサンフランシスコとロサンゼルスが属するカリフォルニア州では、レベル4で運行する車両として1,949台の登録が確認できます※3。Waymoの車両はDepot(車庫)で代わる代わる充電をしたり、定期的に車両清掃やメンテンスを受ける必要があるため、全台が同時稼働しているわけではありませんが、自動運転タクシーを運営するのに、ざっくり、一都市に1,000台程度を配備している計算になります。

上記に加えて、2026年1月下旬にマイアミ※4、2月下旬にはダラス、ヒューストン、サンアントニオ、オーランドを追加して※5、現在、全米10都市で営業を行っています。なお、追加の5都市での利用については、本稿発行日時点では、まだ招待コードが必要です。Waymoでは、新たなエリアで営業を開始する際、初めは社員が試乗し、次いで社員の知人・友人や近隣住民に招待コードを配布して徐々に多くの人に利用してもらい、オペレーションに問題が無いことが確認されてから一般開放となる手続きを踏んでいます。

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Waymoが用意している次世代車は、前年のCESに引き続き、以下の2車種のみです。
その間、米国では第2次トランプ政権が発足し、中韓メーカーの車両しか用意していないWaymoの行方が気にかかるところです。
1.吉利(Geely)傘下の高級車メーカーZeekrと共同開発したMPV “Ojai”
2.HyundaiのIONIQ5を改造した車両

1.Zeekrと共同開発したMPV “Ojai” ~中国色の払拭に躍起?車名も改称~

2種類の新型車のうち、Waymoが社会実装を急いでいるのはZeekrの車両のほうです。この車両には、第6世代の新たな自動運転システムが搭載される見込みで、今回の渡米では、筆者はフェニックス、サンフランシスコ、そしてラスベガスで、試験走行中のOjaiを目撃しました。

前年のCES2025で展示された車両とCES2026で展示された車両を見比べると、センサーの取り付け部分のデザインなども変更になっていますが、2つの大きな変更点に気づきます。
■Zeekrのエンブレムをはずしている
■Ojai(オハイ)という新たな車名をつけ、Waymoの独自開発車両のように見せている

Ojaiは、カリフォルニアの渓谷にある町の名前でもありますが、ネイティブアメリカンの言葉で「月」を意味するそうです※6前年と打って変わって、中国色を払拭し、アメリカにアイデンティティの起源を有する新型車両として露出して行こうというWaymoの方針転換が見て取れます。

Ojaiは、既に公道走行試験を開始しています。町中で走行試験中のOjaiは先んじて生産されたものだったのか、Zeekrのエンブレムが付いていました。視察時点では、まだ一般ユーザーは乗車できず、Waymoのスタッフが運転席に乗って手動/自動モードを切り替えられるレベル2の状態で運行されていました。

【サンフランシスコで走行試験中のOjai】
 車体の前後にZeekrのエンブレムが残っていた

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2.HyundaiのIONIQ5を改造した車両 ~後発の自動運転企業も採用、差別化が困難に?~

Waymoブースでのヒアリングしたところ、IONIQ5を用いた新型車両は、まだ公道走行試験を開始できていないとのことでした。

ゼロエミッションで環境負荷の低い交通サービスを実現することを掲げているWaymoは※7、完全電動のBEVをベース車両に採用することにしています。今後、米国内の都市と東京、ロンドンを合わせて、約20都市に進出を目指すWaymoでは、BEVを安定調達できる必要があります。

実際にはBtoBの大量発注により、Waymoは廉価で車両を入荷できている可能性が高いですが、高級車のJagarと大衆車のHyundaiでは車両価格が大きく異なります。終売となったI-PACEは、米国でメーカー希望小売価格72,500ドル(約1,150万円、2024年式)からだったのに対し※8、IONIQ5はメーカー希望小売価格35,000ドル(約560万円、2026年式)から※9となっています。

この価格で生産が安定しているためか、Waymo以外の自動運転プレイヤーもこぞってIONIQ5を自動運転タクシーのベース車両に採用しています。

1社は、Hyundai傘下のMotionalで、2026年3月中旬からラスベガスの中心部で自動運転タクシーの試験運行を開始しました※10。もう1社はテキサス発のスタートアップAVRIDEで、ダラスやオースティンで自動運転タクシーの走行試験を開始しているほか、自動配送ロボットが各地でフードデリバリーに採用されています。

各社の車両を並べて見ると、LiDARやカメラが取り付けられた車両の外観はそっくりです。同じ車両を使っていますから、乗り心地も似通ったものになりそうです。ブレーキの効かせ方などのスムーズな運転を実現する自動運転ソフトの性能で差別化するか、車内のインフォテイメントで差別化するかといったユーザーに伝えるのが難しい争いになりそうです。

MotionalもAVRIDEも配車アプリ・配車システムではUberと提携しています。WaymoもオースティンとアトランタではUberと提携しています。

自動運転タクシーの配車アプリとしてUberが提携関係を拡大しています。配車アプリとして定着したUberの集客力は魅力的な一方で、利用局面をUberのアプリが支配するようになると、ユーザーとのタッチポイントでも自動運転企業は差別化が難しくなっていきます。

この状況で、没個性的にも見えるIONIQ5をWaymoは投入してくるのでしょうか?
現状、自動運転タクシーを展開している都市の数で見れば、米国内では依然、Waymo1強の状態にあり、Waymoしか走ていない街ではIONIQ5も姿を見せるようになるのかもしれません。

AVRIDEの自動運転車は日本には入ってきていませんが、配送ロボットは東京の臨海部で活躍中です。

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さて、ZeekrとHyundaiではちょっと・・・となりそうなのが日本市場です。I-PACEはデータ収集用の車両として東京にも25台来ていますが、先述のとおりI-PACEは終売しています。海外進出では、Jagarの故郷であるロンドン※11のほうにI-PACEが優先配備されそうです(厳密には、2008年以降、インドのTATA自動車傘下ですが※12)。

日系の車両メーカーとしてWaymoと提携しているのはトヨタで、Waymoの配車のラインナップにトヨタの車両が組み込まれる見込みです※13。ただし、トヨタは米国の自動運転スタートアップMay Mobilityとも提携関係にあり、自動運転化を目指して復活したe-PaletteにはMay Mobilityのシステムを搭載することとなっています※14。これまでのWaymoの車両のラインナップを踏まえると、トヨタからはSUVやMPVをベース車両として提供する可能性が考えられます。

次号ではアップデート②として、Waymoが既存の営業都市で注力するユースケースの拡大(高速道路を利用したルーティング、空港での配車)について取り上げます。

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※1 Waymo “Scaling our fleet through U.S. manufacturing”, May 5, 2025
※2 NHTSA “Part 573 Safety Recall Report 25E084”, Dec. 10, 2025
※3 DMV, State of California “2025 Autonomous Mileage Reports (CSV)(driverless)”, 2025
※4 Waymo “Miami, Your Waymo Ride Is Ready”, January 22, 2026”
※5 Waymo “Ready to Ride: Dallas, Houston, San Antonio, and Orlando”, February 24, 2026
※6<https://www.ancestry.com/first-name-meaning/Ojai?geo-lang=en> (visited March 17, 2026)
※7 <https://waymo.com/sustainability/> (visited March 17, 2026)
※8 Jaguar Palm Beach “2024 Jaguar I-PACE Price List & Configurations” (visited March 17, 2026)
※9 Jaguar Palm Beach “2024 Jaguar I-PACE Price List & Configurations” (visited March 17, 2026)
※10 Hyundai Motor Group “Motional’s Las Vegas Robotaxi Pilot: The Final Mile Before Driverless Launch”, March 15, 2026
※11 Waymo “Hello London! Your Waymo ride is arriving”, October 15, 2025
※12 <https://www.tata.com/business/jlr> (visited March 17, 2026)
※13 トヨタ自動車株式会社、Waymo「トヨタとWaymo、自動運転の普及を加速する戦略的パートナーシップの枠組みに合意」、2025年4月30日
※14 日本電信電話株式会社、May Mobility, Inc.「May Mobility, Inc.とNTTグループの協業による「e-Palette」を活用した自動運転実証実験の開始」、2025年3月27日

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