東京都では外国人が転出超過に転じる
~2025年の人口移動における外国人の存在感②~
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1.はじめに
総務省統計局が2026年2月に公表した「住民基本台帳人口移動報告」によると、2025年の東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)の転入超過数は2024年に比べて新型コロナウイルス感染症後では初めて減少した。新型コロナウイルス感染症の影響で、脱東京圏の流れが2021年まで続いていたが、2022年からは一転して東京一極集中の流れが続いていたため、東京一極集中の進行に歯止めがかかったことになる。
こうした変化に人口面で注目を浴びつつある外国人がどの程度影響しているのかが本稿の主要な関心事である。近年の人口移動において、新型コロナウイルス感染症は大きな影響を与えた。特に、国外から流入する外国人は一気に減少し、存在感を徐々に失っていった。一方、2022年から国外から流入する外国人が激増する中、外国人の国内人口移動も活発化した。外国人では長期滞在可能で仕事の転籍可能な在留資格者が徐々に増加している中、好待遇の仕事を求めて東京圏をはじめとする大都市へ移住しているのであろうか。東京一極集中の進行に歯止めがかかったとしたら、外国人はどこに分散したのであろうか。
3か月以上の外国人滞在者は2013年途中から住民基本台帳に登録されており、人口移動の年別データとして2014年から外国人人口として定量的に把握できる。そこで本稿では、住民基本台帳に基づく国内人口移動のデータから、主に日本人と対比する形で、都道府県と21大都市(政令指定都市+東京都特別区部。以下、大都市と記す)を巡る外国人の人口移動を考察したい。
なお、三大都市圏を巡る人口移動への外国人の影響については、「外国人に脱東京圏の兆し~2025年の人口移動における外国人の存在感①~」を参照して欲しい。
2.2025年の東京都の外国人は2024年の大幅な転入超過から一転して転出超過に
日本人の2025年の都道府県別転入超過数を2024年と比較すると(図表1、2)、東京都は7万563人(2024年)から6万5,597人(2025年)へ4,966人減少となっている。減少幅は都道府県で最大となっており、東京都以外では減少幅の大きい順に、宮崎県、埼玉県、大阪府、神奈川県と続く。一方、増加幅が最大なのは兵庫県で、転入超過数が▲7,324人(2024年)から▲3,617人(2025年)へ3,707人増えており、転出超過が続くものの、大きく「改善」している。兵庫県以外では増加幅の大きい順に、愛知県、北海道、石川県、京都府と続く。このように日本人においては、東京圏の一都二県、大阪圏の中心である大阪府が大きく減らし、大阪圏の2県、名古屋圏の中心である愛知県、政令指定都市のある北海道などで増加している。
≪図表1≫都道府県別転入超過数(日本人)

(出典)総務省統計局「2025年住民基本台帳人口移動報告」(2026年)より、SOMPOインスティチュート・プラス作成
≪図表2≫都道府県別転入超過数(日本人、2025年-2024年)

(出典)総務省統計局「2025年住民基本台帳人口移動報告」(2026年)より、SOMPOインスティチュート・プラス作成
一方、外国人の2025年の都道府県別転入超過数を2024年と比較すると(図表3)、東京都は8,722(2024年)の大幅な転入超過から▲378人(2025年)へ▲9,100人の大幅な減少となり、一気に転出超過に転じている。この減少幅は都道府県で圧倒的に大きい(図表4)。一方、増加幅が最大は愛知県で、転入超過数が▲6,684人(2024年)から▲3,987人(2025年)へ2,697人増えており、日本人における兵庫県同様に転出超過が続くものの、大きく「改善」している。愛知県以外では増加幅の大きい順に、埼玉県、神奈川県、兵庫県、岐阜県と続く。このように外国人においては、東京都が「一人負け」の一方、名古屋圏の二県、東京圏の二県、大阪圏にある兵庫県が増加している。
≪図表3≫都道府県別転入超過数(外国人)

(出典)総務省統計局「2025年住民基本台帳人口移動報告」(2026年)より、SOMPOインスティチュート・プラス作成
≪図表4≫都道府県別転入超過数(外国人、2025年-2024年)

(出典)総務省統計局「2025年住民基本台帳人口移動報告」(2026年)より、SOMPOインスティチュート・プラス作成
東京都について2025年の転入超過数を2024年と比べると、前述のように外国人は▲9,100人であり、日本人の▲4,966人を大きく凌駕している。2024年から2025年にかけての東京都の転入超過数の大幅な減少において外国人の影響は非常に大きいといえる。また、2024年から2025年への人口移動の変化における外国人の影響を見るために、図表2と図表4を合わせたものを図表5として用意した。なお、グラフを見やすくするために、増減幅が非常に多い東京都を除いている。図表5から、三大都市圏や大都市を抱える県などで外国人の影響が大きいことがわかる。
≪図表5≫都道府県別転入超過数(日本人、外国人、2025年-2024年)

(注)東京都除く。2025年の外国人の増加数が多い順。
(出典)総務省統計局「2025年住民基本台帳人口移動報告」(2026年)より、SOMPOインスティチュート・プラス作成
3.大都市の外国人転入超過数では東京都特別区部の「一人負け」
次に大都市について分析を進める。大都市計の転入超過数で見ると、日本人は12万3,541人(2024年)から10万9,016人(2025年)に減少している。一方、外国人は495人(2024年)から▲7,028人(2025年)に大きく減少し、かつ転出超過に転じている。
これを個別の大都市別に見ると(図表6)、まず日本人では、東京都特別区部が5万4,342人(2024年)から4万4,648人(2025年)へ、大阪市も1万7,626人(2024年)から1万1,520人(2025年)へ、共に転入超過を維持しながらも転入超過数は減少し、この2つの変動幅が他の大都市を凌駕している(図表7)。
外国人では、東京都特別区部が4,462人(2024年)から▲5,451人(2025年)へ大幅に減少し、転出超過に転じているのが目立つ(図表8)。変化幅では、東京都特別区部が極めて大きく、「一人負け」状態といえる(図表9)。
また、前述の都道府県別と同様に、2024年から2025年への人口移動の変化における外国人の影響を見るために、図表7と図表9を合わせたものを図表10として再掲した。東京都特別区部の転入超過数の減少では日本人と外国人がほぼ同じ規模で並んでおり、東京都特別区部を巡る人口移動における外国人の影響力の大きさがうかがえる。
≪図表6≫大都市別転入超過数(日本人)

(出典)総務省統計局「2025年住民基本台帳人口移動報告」(2026年)より、SOMPOインスティチュート・プラス作成
≪図表7≫大都市別別転入超過数(日本人、2025年-2024年)

(出典)総務省統計局「2025年住民基本台帳人口移動報告」(2026年)より、SOMPOインスティチュート・プラス作成
≪図表8≫大都市別転入超過数(外国人)

(出典)総務省統計局「2025年住民基本台帳人口移動報告」(2026年)より、SOMPOインスティチュート・プラス作成
≪図表9≫大都市別別転入超過数(外国人、2025年-2024年)

(出典)総務省統計局「2025年住民基本台帳人口移動報告」(2026年)より、SOMPOインスティチュート・プラス作成
≪図表10≫都道府県別転入超過数(日本人、外国人、2025年-2024年)

(注)2025年の外国人の増加数が多い順。
(出典)総務省統計局「2025年住民基本台帳人口移動報告」(2026年)より、SOMPOインスティチュート・プラス作成
4.おわりに
2025年の人口移動で明らかになった「東京一極集中の進行に歯止め」において、特に東京都や東京都特別区部を巡る人口移動では、外国人の影響が大きいことが明らかになった。おそらく、東京都特別区部を中心とした地価高騰によって、日本人以上に、外国人が大きな影響を受けていると推察される。その結果、東京圏で働く外国人にとって、東京圏の中でも比較的家賃の安いエリアに移住している可能性が高い。また、外国人の転入超過において愛知県は大幅増加で一方、名古屋市はそれほど増加していないことも注目できる。近年、円安を利して輸出型製造業が活況を呈しており、そのような産業が名古屋市以外に多く立地している愛知県は脱東京圏を考える外国人にとって狙い目であろう。
また、今後の地価や円安の動向を将来にわたって推察するのは難しいが、好条件の仕事があれば外国人は日本人よりも東京圏以外へ移住するように感じられる。外国人において、人口移動の多い若い年齢層が日本人よりも多いことや、現段階で家族帯同者が少ないため自身の都合のみで移動を考えることができることなどが影響しているであろう。ただし、長期滞在可能な在留資格の多くは家族帯同が可能であり、そのような外国人が今後増加することを考えると、外国人の人口移動は変化していくであろう。長期でみればいずれ日本人と似通った人口移動の特徴になると思われる。
また、外国人は人口割合以上に人口移動に大きな影響を与えているのは間違いない。そのため、人口移動、特に東京一極集中の行方において、外国人の分析は欠かせない。東京一極集中是正を大きな目的とする地方創生においても外国人に着目する必要があろう。
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