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2024年の外国人増加数は過去最高
~著名リゾートで外国人が急増~

上席研究員 岡田 豊

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1.外国人の人口増加は日本の人口減少を大きく緩和

総務省から2025年8月6日に発表された「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」によると、2025年1月1日の外国人人口は368万人で、過去最高となった。この368万人という規模は市町村別人口ランキングトップの横浜市(377万人。2025年7月1日現在)に匹敵する、非常に大きな存在だ。
 また、2024年の増加数(35万人)、日本の総人口(日本人+外国人)に占める割合(3.0%)についても、過去最高を記録した。このうち増加数は、近年減少傾向が鮮明となっている出生数の半年分(2024年1月~6月分)と同じである。一方、2024年の日本人の人口減少は過去最高の▲91万人にのぼり、市町村別人口ランキング14位の北九州市(90万人。2025年7月1日現在)が毎年消滅する計算となる。日本の人口減少を外国人人口の増加が大きく緩和しているといえる。
 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(全国)」の2023年推計によると、将来推計にあたって外国人の入国超過数を2040年に163,791人(2015~2019年平均)と仮定し、2070年の日本人口(日本人+外国人)を8700万人(出生中位・死亡中位)としている。しかし、同推計における「条件付推計」によると、外国人が一切増えない封鎖人口では2070年に7742万人、外国人が年25万人増加では9287万人となっている。現在の外国人増加数は年30万人を超えているので、この状況が今後も続けば、外国人年25万人増加ケースを超え、同じ条件付推計で合計特殊出生率1.6という大幅上昇(出生中位は2070年1.36)ケース(2070年9435万人)を凌駕する可能性が高い。つまり、出生率の大幅上昇がなくても、外国人増加で人口減少が大きく緩和できる一方、外国人があまり増加しないケースでは人口減少が大きく加速するため、人口減少対策において外国人人口が重要であることは間違いない。

(図表1)日本人と外国人の増加数の推移

(出典)総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(2025年)より、SOMPOインスティチュート・プラス作成

2.著名リゾートでは外国人割合が大幅上昇

外国人人口は大都市の方が多いが、外国人人口割合では地方で目立つ。図表2は人口(日本人+外国人)に占める外国人割合について、市町村(含む政令指定都市行政区、東京都特別区)別上位20位を見たものであるが、日本全体の外国人割合(3.0%)をはるかに上回る自治体が並んでいる。
 このランキングで目立つのは、図表2に赤字で示している著名リゾートであり、上位20自治体の半分を占めている。また、この著名リゾートはコロナ禍前の2020年1月1日現在と比べて、外国人割合が大きく伸びているのがわかる。
 著名リゾートでは、コロナ禍以降、活況を呈しているインバウンド需要に対応するため、外国語を話すことができる労働者に大きなニーズがあり、主に留学生の大卒の在留資格である「技術・人文・国際業務」における外国人労働者が大きく増えている。また、上記の外国人割合が高い著名リゾートには8つがスノーリゾートである。スノーリゾート特有の状況として、冬季のピークシーズンだけ働く者が少なくない。その際、在留資格「特定活動」の代表例であるワーキングホリデーなどを活用する外国人にスノーリゾートにて冬季だけ働くことが人気となっているのであろう。

(図表2)人口(日本人+外国人)に占める外国人割合(%)の上位20自治体(2025年)

(出典)総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(2025年)より、SOMPOインスティチュート・プラス作成

地方創生2.0では、地方において大都市にない地域資源を活用したインバウンド需要の取り込みが重要視されているが、インバウンドに人気の高い著名リゾートは外国人労働者なしに成り立たないことは明らかである。
 先の参議院選挙では外国人問題がにわかに争点に浮上するなど、外国人の動向について日本での関心がかってないほど高まっている。そのような外国人を巡る話題においては、今回のように人口に占める外国人の動向にも注視すべきである。日本全体の人口減少対策においても、地方創生においても、もはや外国人抜きに考えられる状況になく、外国人をどのように問題なく受け入れていけるのか、いわゆる共生社会実現においてどのような施策がより重要なのか、これまで以上に真剣に議論すべき段階であろう。

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