ワーク・エコノミックグロース

選択的週休3日制への期待から考える働き方の現在地とこれから

上級研究員 大島 由佳

選択的週休3日制への関心が高まっている。週休3日制が1週間のうち3日の休日を全従業員に付与するのに対して、選択的週休3日制は希望する従業員にのみ3日の週休を付与するのが特徴だ。しかし、選択的週休3日制の導入は容易ではない。様々な従業員が働き続けやすい職場づくりを根気強く行って、はじめて選択的週休3日制の導入・継続が可能なのが事例からみえてくる。
 週休3日制などの働き方の選択肢が多様になればなるほど、正社員は全員同じように働くという前提に立った評価・賃金体系や職務の在り方では対応しきれない。それらは、雇用システム全体の中で、採用・育成・昇進、正規・非正規の別といった他の様々な要素と関連しながら形成されてきた。全体をこれからの社会に合った形にしていくという視点が欠かせない。選択的週休3日制が広がるか否かは、多様な働き方の実現に対する企業や働く人、社会全体の本気度にかかっているといえるだろう。
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1. 選択的週休3日制への期待

選択的週休3日制は、2021年6月に政府が「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太方針2021)の中で企業での導入促進を掲げた1こともあり、ここ数年注目されてきた。最近では、官公庁や自治体でも導入が広がっている。国家公務員では、従来、育児や介護などの事情がある職員のみ可能だった週休3日制の選択が、2025年4月からその他の一般職員でも可能になった2。地方公務員では、2025年4月開始の東京都をはじめ、複数の自治体で導入されている3。大手求人サイトIndeed上では、週休3日に言及する求人件数は2025年5月時点で5年前比5.3倍に増えているという4。また、日本経済新聞が公表した調査結果では、働く人が勤務先に導入を希望する制度の最上位に週休3日制が挙がり、希望する理由としては、「⼦どもとの時間や家事、趣味など⾃分の時間を増やしたい」「副業をしたい」などがみられた5

こうした週休3日制への労使双方の期待からは、本業としての仕事と折り合いをつけながらそれ以外の時間を見出したい働く側の姿と、人材獲得や離職防止に対する雇う側の切実さがみえてくる。コロナ禍で普及したテレワークにより、時間と場所を柔軟に調整して働く人、通勤時間がなくなって時間的余裕が生まれた人がいる一方で、医療や介護、運輸業や製造業をはじめとするテレワークが難しい職種がある。また、出社回帰の流れもみられる。そうした職場では特に、週休3日制は本業としての仕事以外の時間を増やす選択肢としての期待が高いと考えられる。

2. 日本の労働時間と休日の現状

選択的週休3日制に対する期待の背景について、労働時間と休日の現状、それに対する労使の受け止めをデータの面から考察する。

(1) 労働時間と年次有給休暇の長期的推移と現状

年間総実労働時間は、長期的にみると男女双方で減少してきた6。男女ともにパートタイム労働者の占率が上昇していて、特に女性の総実労働時間の減少傾向についてはパートタイム労働者の占率上昇の影響が指摘されている7。パートタイム労働者ではない一般労働者でも、年間総実労働時間は2018年以降、減少傾向にある8。理由として、2016年頃に本格化したとされる働き方改革や、2019年4月に施行(中小企業は2020年4月から適用)された時間外労働の上限規制の影響があるといわれている9

長時間労働がどれだけ発生しているかという視点も欠かせない。雇用されて働く人について、月末1週間の就業時間が40時間以上の人のうち、その就業時間が60時間以上の人が占める割合は、2003年の17.9%をピークに逓減していて、2022年は8.9%だった10。ただし、直近の動向を人数でみると、2020年の292万人に対して2022年は299万人と増加傾向がみられる11。長時間労働をしている人が一定いるのが現状だ。

また、年次有給休暇については、2019年4月から労働者に年5日取得させることが使用者の義務になったことなどを背景に、2018年には51.1%だった取得率が、2025年には66.9 %にまで上昇した12

(2) 働く人の受け止め:本業としての仕事以外の時間の確保状況は人それぞれ

そのような長期的推移があるとはいえ、残業と休暇に対する働く人それぞれの受け止めに注目すると、人によって異なる状況や思いが見えてくる。

民間調査会社が2023年に実施した「労働時間制度等に関するアンケート調査」の結果を分析した厚生労働省の資料によると、残業時間を「ちょうどよい」と感じている労働者が48.5%を占める一方、「多い」「やや多い」がそれぞれ6.7%、14.4%で、あわせて21.1%を占めた《図表1》13。残業時間を減らしたいと考える人は、「減らしたい」「やや減らしたい」をあわせて26.1%存在する《図表2》。
 

残業時間を「減らしたい」「やや減らしたい」と答えた人では、理由(複数回答)として、「自分の時間を持ちたいから」(57.2%)、「健康管理のため」(37.0%)、「家事、育児等の時間を持ちたいから」(18.8%)、「副業・兼業をしたいから」(8.1%)などが挙がっていて、本業としての仕事以外の時間を増やしたい人が一定いることがうかがえる《図表3》。

一方、残業時間がこのままでよいと答えた人では、理由(複数回答)として、「残業代を減らしたくないから」という人が15.1%みられる《図表4》。また、残業時間を「やや増やしたい」「増やしたい」人では、理由(複数回答)として、「残業代を増やしたいから」が最も多い67.5%を占めた《図表5》。残業代が理由で残業時間を維持あるいは増加させたいと思っている人の中には、必ずしも時間的余裕があるわけではない人が一定割合いると推測される。
 

 
 年次有給休暇については、取得率が増加傾向とはいえ、「取り残すことはない」と答えた人の割合は27.8%にとどまる。年次有給休暇を取り残す理由には複数回答で、「病気や急用のために残しておく必要があるから」27.9%、「休むと職場に迷惑がかかるまたは仕事に支障が出るから」21.7%、「休みたい時期に休めないから」19.8%、「職場の周囲の人が取らないので年休を取りにくいから」11.7%が挙がっている《図表6》。

 
 これら残業時間と年次有給休暇に関する調査結果からは、本業としての仕事以外の時間を希望通りに確保できていない人がいる現状がうかがえる。

週休3日制のように、休みの取得が確実な週休を増やす働き方への期待の背景には、通勤の時間や負担の軽減のほか、休みたいと思っても、取りたいタイミングでいつも休みを取れるとは限らない、安心して休みを取得できない環境が一因にある可能性が考えられる。

(3) 企業の受け止め:長時間労働防止や年休取得促進で人材確保を目指す企業も

一方、企業の中には、人手不足に直面して、長時間労働防止や年休取得促進に取り組んでいる企業もある。2025年に労働政策研究・研修機構が行ったアンケート調査では、事業継続に対する人手の過不足感を問う質問に対して、「不足」「やや不足」と回答した企業の割合は合計で、正社員に対しては71.0%、非正社員に対しては41.2%を占めた14。正社員の人手不足の職種としては多い順に、現場の技能職、営業職・販売職・サービス職、マネジメント層が挙がった。また、同調査では、過去1年間で取り組んできた従業員の就業継続促進策も尋ねている。処遇改善・評価制度では、若手の賃金の引上げを70.6%、若手以外の賃金の引上げを62.4%の企業が取り組んでいると回答した。ワーク・ライフ・バランス推進策としては、年次有給休暇の取得促進を75.4%、長時間労働の防止策を54.3%の企業が取り組んでいるという。

(1)で触れたように、2010年代後半以降、働き方改革や時間外労働の上限規制への対応として年次有給休暇の取得促進や長時間労働の防止を今までに進めてきた企業は少なくないだろう。人件費高騰や従業員退職などの人手不足関連での倒産が過去最多を更新したというデータ15とあわせて考えると、企業の中には、賃上げ、年次有給休暇の取得促進や長時間労働防止の更なる取組みは困難な企業が、中小企業を中心に多くあると推測される。また、「不足」「やや不足」の回答割合が高かった「現場の技能職」、「営業職・販売職・サービス職」では、柔軟な勤務時間の設定や在宅勤務が難しい職場もある。週休3日制に対する企業の期待は、そうした現状に応える人材獲得・就業継続促進策を求める動きと捉えられる。

3. 選択的週休3日制導入の難しさ

労使双方が期待を寄せる選択的週休3日制だが、導入は容易ではない。

(1) 業務の削減・効率化の必要性

週休2日制の企業で週休3日の選択を可能とする場合、主に3つのパターンがある《図表7》。

 
 総労働時間が減る②や③では業務の削減や効率化が欠かせないが、総労働時間が変わらない①の場合も、勤務日における長時間労働の負担軽減や業務外の時間確保の観点から、業務の削減や効率化が必要だ。①~③のいずれでも、休みの日の業務を他のメンバーが代わりに担う必要があるならば、代替者の負担軽減の観点からも業務の削減や効率化が重要といえる。

こうした取組みは、年次有給休暇や産休・育休、介護休暇・休業といった既存の休暇・休業制度が利用しやすい職場環境づくりでもある。長時間労働や休みの取りづらさといった既存の職場環境の改善なくして、選択的週休3日制の導入は難しいといえる。厚生労働省が2025年3月に発行した「働き方・休み方改革取組事例集」では、「選択的週休3日制が効果を生むためには、残業を前提にした働き方の見直しや、休みを取得しやすい風土・体制づくりなど、基本的な働き方改革の取組ができていることが重要」と指摘している。

しかし、2.でみたように、長時間労働の削減や年次有給休暇の取得促進を既に進めてきた企業もあり、人手不足であればあるほど、一層の業務の削減や効率化は簡単ではないだろう。週休3日制と週休2日制の従業員が共に働く組織では、シフトの組み方や会議の日取り、業務の割り振りや評価など、複雑さが増す。また、総労働時間が減っても給与を変えない③の方法では、特に生産性の向上が欠かせないほか、週休2日制で働く人など周囲の理解や納得を得るのは簡単ではない。

かつて選択的週休3日制の導入を発表した企業のその後の動向をみても、導入の難しさがうかがえる。2021年に骨太方針2021で企業での選択的週休3日制の導入促進が掲げられた前後の時期には、大企業を中心に選択的週休3日制の導入や試験導入の発表が続いた。選択的週休3日制を現時点でも継続している企業がみられる一方、制度の存続や試験的導入後の本格導入について、直近の各社の公開情報や報道などからは確認できないケースも中にはみられる。コアタイムなしのフレックスタイム制などの柔軟な働き方の一部として選択的週休3日制が取り込まれている可能性のほか、積極的には選択的週休3日制をうたったりしていない、試験導入したものの本格導入は見送った、制度を廃止したといった可能性が考えられる。

(2) 企業事例にみる共通点:様々な従業員が働き続けやすい職場づくりそのもの

簡単ではない選択的週休3日制の導入だが、継続している企業の取組みをみると、長時間労働の防止、年次有給休暇の取得促進のほか、1日あたりの所定労働時間の短縮、在宅勤務をはじめとする柔軟な働き方など、週休3日制の選択者に限らず、様々な従業員が働きやすいよう幅広く施策を実施している16

そうした一連の施策については、最近かつ中小企業の事例が前掲の「働き方・休み方改革取組事例集」(2025年3月発行)に詳しく掲載されている17。選択的週休3日制を導入した企業のみならず、導入を検討したが見送った企業の取組みも紹介されている。導入に至ったか否かに関わらず、いずれの企業も人材に係る自社の課題の明確化、従業員のニーズのヒアリングや丁寧なコミュニケーション、それらを踏まえた課題解決策としての業務の整理・効率化、週休3日制に限らず休みがとりやすい職場づくりに共通して取り組んでいた。また、導入に至った企業では、業務の整理・効率化を経て見直された役割分担による育成への好影響がみられる《図表8》。
 

 
 上記の事例から、様々な従業員が働き続けやすい職場づくりを根気強く行ってはじめて選択的週休3日制を導入・継続できるといえよう。

4. 今後に向けた視点

ここからは一歩踏み込んで、2.の現状と3.の取組事例を踏まえて、日本の雇用システムと海外動向という2つの観点から選択的週休3日制の日本の現在地を考察し、今後企業が制度の導入や見直しをしていく際に重要な視点を考える。

(1) 日本の雇用システムの中で直面する課題

週休3日制と週休2日制の人が共に働く職場では、役割、業務の負担や進め方、評価など、従業員に不安が生まれるのは自然なことだろう。《図表8》の各社事例にみられるように、業務の整理・効率化や役割分担の見直し、丁寧なコミュニケーションが欠かせない。また、C社のように、働く時間の短さで評価に不利益が生じない仕組みも肝要である。

これまで日本では、正社員は長時間労働や転勤を含む異動、職場の状況に応じて職務が変わるといった職務の無限定性を受け容れる働き方が全員にとって共通の前提だった。だが、その前提に立った評価・賃金体系だと、週休3日制のほか、短時間勤務など、働き方の選択肢が多様になればなるほど対応しきれない。評価・賃金体系は、職務の無限定性のもと、長期雇用、新卒一括採用、労働者の正規・非正規の区別といった複数の要素と共に雇用の仕組み全体の中で位置づけられてきた。各要素が相互に関連して機能しているため、仕組みの一部だけを変えることは難しい。

しかし、週休3日制や短時間勤務といった選択肢の広がりや、転勤制度の見直しなどにより、正社員の職務の無限定性は緩和されてきている。正社員の拘束度や負担の重さが軽減されることは、旧来の正規・非正規の区別の前提を消失させていくものとの指摘がある18。2020年4月施行の働き方改革関連法は正規・非正規の不合理な待遇差の禁止を定めているが、同一労働・同一賃金に係るガイドラインの見直しが現在進められていて、不合理な待遇差の是正の実効性向上が期待されている。年収の壁の見直しも今後予定されているなど、働き方の違いによる不合理な差をなくすための法令や制度面での検討が行われている。また、企業の間では新卒一括採用と時間をかけた育成や選抜だけではなく、通年採用や経験者の採用を増やす動きが広がっている。職務の無限定性や、日本の雇用システムを構成する各要素が変わり始めている点を踏まえると、正社員誰もが同じように週5日同じ時間、特に長時間働くことを前提にした評価・賃金体系も変化しやすい、あるいは、変化せざるを得ない状況にあるかもしれない。

ただ、単純に賃金体系を見直そうとしたら、賃金が増える人もいれば、減る人も出てくる。賃金は働く人の暮らしや人生を支える経済的基盤であり、人々にとって賃金の減少は受け容れがたい。日本における選択的週休3日制の導入方法として、1勤務日あたりの労働時間は長くなっても、総労働時間を変えないことで給与水準を維持する形(《図表7》の「①総労働時間・給与維持型」)が少なくない現状19や、《図表4》《図表5》にみられたように、残業代を減らしたくない、増やしたいと考える人が一定存在する点は、その表れといえる。賃金体系の見直しで減少に直面する人が生じないことを目指すならば、総労働時間を減らしても給与が維持する形(《図表7》の「③総労働時間削減・給与維持型」)を実現できるほどの生産性向上を見据える必要があるだろう。

(2) 海外での週休3日制の導入にみる示唆

日本が直面するそうした難しさに対して、ヨーロッパを中心に海外で実証実験や本格導入が進む週休3日制の動向は参考になる。多くのケースで「③総労働時間削減・給与維持型」として週休3日制を実施していて、業績向上を実現する結果がみられるからだ。例えば、2022年に6月から12月にかけてイギリスで実施された実証実験には、様々な業種と規模の61の企業の約2,900人が参加し、給与水準は維持したまま総労働時間を20%削減する形で行われた20。分析に十分なデータを提供した24の企業に限られた内容だが、実証実験直前6か月間と実証実験期間6か月間における各社の売上変化率を企業規模で重み付けして平均すると、プラス35%だったとされる。また、61社のうち56社は週休3日制を継続する方針だという。ドイツなど他の国々でも実証実験が行われていて、売上や利益の維持あるいは微増が報告されているケースもある21。週休3日との因果や中長期での結果は明らかになっていない点などに留意は必要だが、労働時間を短くしたからといってすぐに売上や利益が必ず減少するわけではなく、維持さらには増加できる可能性がある点は注目に値するだろう。

ただし、日本と欧米では雇用の在り方が異なるため、日本でも同じような効果が出るとは限らない。職務に人を割り当てる欧米では、決められた各自の職務を遂行すればいいのに対して、日本では人に職務を割り当てる形が長らく続いてきたからだ。日本では(1)で触れたように、職場の状況に応じて職務はしばしば変わってきた。他のメンバーの業務負担が重かったり進捗に困難が生じたりした場合は、代わりにその職務を担うよう求められるケースはよくある。そのため、自身の職務をより短い時間で完遂しても、業務量が増えて労働時間の短縮に繋がりにくいと指摘される22。一方で、《図表8》の事例にみられるように、業務の属人化を排して他のメンバーもお互いに業務を担えるようにすることが、週休3日制の選択を可能にする側面もある。メンバー間でのサポート体制は作りつつ職務は明確にするなど、日本のこれまでの働き方や職場運営も踏まえながら、「③総労働時間削減・給与維持型」を取れるだけの生産性向上を模索していく必要があるだろう。

5. むすび ~社会全体の理解と変化も必要~

週休3日制への労使双方の期待からは、現在の日本の雇用・職場環境のもとで、本業としての仕事以外の時間を増やしたいという働く側の思いと、人材獲得や離職防止に対する雇う側の切実さがうかがわれた。同時に、選択的週休3日制の導入が容易ではない点もみえた。従業員のニーズのヒアリングや丁寧なコミュニケーションなどの地道な取組みが必要である。また、業務の整理・効率化などによる生産性向上が欠かせない。週休3日制に限らず、短時間勤務など、働き方の選択肢が多様になるほど、長時間労働など、皆が同じように働くことを前提とした従来の仕組みは変化を求められる。その実現の点でも生産性向上は重要と考えられる。

ただし、生産性の向上を強く目指そうとすると、働く側と企業の双方に負担感が生じるだろう。選択的週休3日制は、日本では働く人にとっては時間、企業にとっては人材をそれぞれ確保する点から主に論じられる。一方、海外での週休3日制の実証実験では、売上や利益といった業績だけではなく、従業員の心身の健康にもポジティブな結果が広くみられた。ストレスや燃え尽き症候群、不安や疲労、睡眠障害の水準が低下したほか、離職率も低下したという23。これらを考え合わせると選択的週休3日制は生産性の向上に寄与すると考えられる。企業は、生産性向上だけでなく、業務の整理・効率化や役割分担の見直しを含めて、従業員が働きやすくやりがいを持てる職場環境を提供する姿勢が肝要だろう。

企業と従業員のみならず、社会としても変化が求められる。選択的週休3日制や短時間勤務など、多様な働き方が広がるには、多様な休み方への理解が必要だ。しかし、日本では長時間労働や休まないことで意欲を示すカルチャーがまだ残っているとされ24、休むことに罪悪感を抱く人も少なくない。日本では働く人の時間確保や企業の人材獲得・離職防止の効果に比べると、海外の実証実験でみられた心身の健康への影響といった休みの効果はそこまで注目されていない。その背景に、そうした休みに対する意識がある可能性が考えられる。

また、子どもに関する制度との関係にも留意すべきであろう。例えば、保育所や学童クラブは利用にあたり、週5日・フルタイム勤務者が優遇される自治体が多いとの指摘がある25。週休3日制にする方法が「①総労働時間・給与 維持型」の場合、終業後閉館間際に保育所や学童クラブに迎えに行くのが現状ならば、1勤務日あたりの労働時間を延ばせず、週休3日制を選べない人が出てくる。

休みに対する意識や働き方・休み方に関する制度や慣習は、職場のみならず、教育の場を含めた社会全体で長年かけて形成されてきた。週休3日制という選択肢が広がり、希望する人が実際に選択するか否かは、多様な働き方の実現に対する企業や働く人、社会全体の本気度にかかっているといえるだろう。

  • 内閣府ホームページ 「経済財政運営と改革の基本方針2021 日本の未来を拓く4つの原動力 ~グリーン、デジタル、活力ある地方創り、少子化対策~」(骨太方針2021)(2021年6月18日閣議決定)
  • 人事院 「令和5年人事院勧告・報告について」、人事院ホームページ 「フレックスタイム制の見直し(令和7年4月1日施行)」
  • 東京都人事委員会ホームページ 「職員の勤務条件」(visited Jan. 21, 2026) < https://www.saiyou.metro.tokyo.lg.jp/ninyoukyuuyoka/kinmujyoukenkankei/kinmujyouken >、日経ビジネス 電子版 「週休3日、東京都など自治体が先行 学びや育児時間確保で採用の一手に」(2025年3月28日)
  • Indeed Japan プレスリリース 「「週休3⽇」ニーズが拡⼤。5年で求⼈5.3倍、仕事検索3.6倍に 医療‧運輸などリモート困難職種を中⼼に導⼊進み、柔軟な働き⽅の選択肢が拡⼤」(2025年9⽉12⽇)
  • 日本経済新聞 「何でもランキング 週休3日に無料社食…我が社にも導入してほしい制度10選」(2025年11月8日)。30〜40代の男女正社員1,000人へのインターネット調査(2025年9月実施)で、働きやすさを向上させる21制度を示し、勤務先に導入してほしい制度を最大7つ選択してもらった結果、「週休3日」が591ポイントで第1位であった。
  • 厚生労働省 「毎月勤労統計調査」
  • 厚生労働省 第1回 労働基準関係法制研究会 (2024年1月) 資料 No.3-2 「人口構造、労働時間等について」
  • 前掲注6
  • 日本経済新聞 「働く時間 より短く 残業規制やパート増が影響」(2025年2月26日)
  • 前掲注7
  • 前掲注7
  • 厚生労働省 「就労条件総合調査」
  • 厚生労働省 第1回 労働基準関係法制研究会 (2024年1月) 資料No.4 「労働時間制度等に関するアンケート調査結果について(速報値)」
  • 労働政策研究・研修機構 「働く意識の変化や新たなテクノロジーに応じた労働の質の向上に向けた人材戦略に関する調査(企業調査・労働者調査)」(JILPT調査シリーズNo.261、2025年12月)
  • 東京商工リサーチ 「2025年の「人手不足」倒産は過去最多の397件 「賃上げ疲れ」が顕在化、「従業員退職」が1.5倍増」(2026年1月7日)。2025年における負債1,000万円以上の企業の倒産のうち、人手不足に関連した倒産が累計で397件(前年比35.9%増)と過去最多を更新し、資本金1千万円未満の企業の倒産が251件で多くを占めた。397件の内訳は、人件費高騰が152件(同43.3%増)、求人難が135件(同17.3%増) 、従業員退職が110件(同54.9%増)だったという。
  • 厚生労働省 「働き方・休み方改善ポータルサイト」。選択的週休3日制の導入事例について、必ずしもすべてが現時点(2026年1月)の情報とは限らない点には留意が必要である。
  • 「働き方・休み方改革取組事例集」で企業事例として紹介されているケースは、営利を目的とする企業のみならず、医療法人なども含まれる。事例紹介されている各組織を本稿で総称する際は、当該事例集の表記にならい、法人の形態によらず、「企業」と記載する。
  • 日本経済新聞 「正規・非正規の待遇格差、是正は道半ば」(2025年12月2日、「経済教室」 早稲田大学教授 水町勇一郎氏)
  • 日本経済新聞 「週休3日、欧州で広がる ドイツ鉄道は「実質賃上げ」」(2024年6月17日)
  • Autonomy “THE RESULTS ARE IN: THE UK’S FOUR-DAY WEEK PILOT”, February 2023
  • Universität Münster ホームページ News “Mehr Zufriedenheit mit weniger Arbeit” (Oct. 18, 2024) (visited Jan. 21, 2026)
    < https://www.uni-muenster.de/news/view.php?cmdid=14337&lang=de >
  • 碇邦生 「週休3日に舵を切る欧州、日本は?」(日経COMEMO、2023年2月27日)
  • 前掲注20
  • リクルートワークス研究所 「巧みに休む」 (機関誌 Works 第25巻 第2号 通巻154号、2019年6月)
  • 日本経済新聞 「広がる週休3日制、本当にできる?」(2024年12月12日)

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