マクロ経済・公共政策

物価高でカットされる家計のこづかい・交際費

上級研究員 小池 理人

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 長引く物価高の中で、家計の消費行動に変化が生じている。物価上昇前の2019年と物価上昇の影響を受けた2025年とを比較すると、家計の消費行動の変化が浮かび上がる。食料や住居、光熱・水道といった生活必需品のウエイトが上昇する一方で、教養娯楽や被服及び履物など、選択的支出のウエイトが低下している(図表1)。
 最も大きくウエイトが低下したのは、その他の消費支出である。その他消費支出の内訳を確認すると、こづかいと交際費の急減が際立っている(図表2)。ウエイトのみならず、金額をみても、こづかいが68,928円(2019年:111,665円)と2019年比▲38.3%、交際費は111,052円(2019年:142,851円)と同▲22.3%となっており、共に大幅な減少となっている。インフレが進行することでただでさえ実質購買力が低下している中、こづかいと交際費については名目ベースでも大幅な減少がみられている。
 興味深いのは、こづかい・交際費共に高所得者において金額の減少幅が大きいことだ(図表3、図表4)。年収五分位5(最も所得の高い階級)がこづかいにおいても、交際費においても、他の階級と比較して金額の減少幅が大きくなっている。年収五分位5でのこづかいや交際費の絶対額は他の階級として高いものの1、金額の減少幅が大きいことは、節約余地の大きさによるものであると考えられる。逆に考えると、年収の低い世帯においては、こづかいや交際費といった選択的支出の削減余地が既に小さくなっていると考えられる。
 電気・ガス代への補助金や暫定税率廃止といった政策的な要因によって、長らくマイナス圏で推移していた実質賃金は、間もなくプラス圏に浮上することが予想される。しかし、それはあくまでも政策的な要因による影響が大きく、実力とは言い難い。継続的な実質賃金の回復が見込めないのであれば、家計の節約志向は今後も続くことになるだろう。

  • 例えば、こづかいでは年収五分位1(最も年収の低い階級)が42,192円、年収五分位2が58,275円、年収五分位3が64,535円、年収五分位4が82,952円、年収五分位5が96,688円と年収が高いほど、支出金額が高い傾向にある。

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