シティ・モビリティ

「ジャングリア沖縄」は 「ガラガラ」 だけど「満員」!?
~少人数型 アトラクションの課題①~

上席研究員 岡田 豊

1.カリスマ関与の「没入型」テーマパークで相次ぐ異変

2025年7月25日、沖縄県北部に華々しく開業した「ジャングリア沖縄」。沖縄県北部の「やんばる」の豊かな自然遺産と恐竜を体験できる没入型テーマパークとなっており、観光産業が地域経済に大きな役割を果たしている沖縄県にとって、長年待望した大型施設である。USJ、西武園遊園地などの経営再建に関与したカリスマが運営会社の筆頭株主として関わっていることから、前評判は上々であった。しかし、開業直後は超満員となった一方で、夏休み終了後からが場内はガラガラとされるなど、評判は一変しつつある。

また、東京・お台場で長らく代表的な商業施設であった「ヴィーナスフォート」の跡地を活用し、ジャングリア沖縄と同じカリスマが運営に関わることが話題となったテーマパーク「イマーシブ・フォート東京」。「体験型劇場」を標ぼうし、没入型のアトラクションがウリであった。こちらについては、2026年2月28日の閉鎖が2025年12月25日のクリスマスという似つかわしくない日に発表された。鳴り物入りで2024年3月1日に開業してからわずか2年で幕を閉じることとなったのだ。
 筆者は2025年12月にジャングリア沖縄を3日間連続で訪問した。また、イマーシブ・フォート東京も全6種類のうち5種類のアトラクション(体験型演劇が多いイマーシブ・フォート東京ではアトラクションは「演目」と呼ばれる)について、最終日の2026年2月28日の1演目を含めて計13回体験した。地域における若者の雇用を増やし、地域住民のレジャー機会を増やすエンターテインメントは地域活性化に切望されているコンテンツであるが、訪問経験などに基づいて、この2つの地域発のテーマパークの課題を2回にわたって考察したい。今回はジャングリア沖縄編となる(次回はイマーシブ・フォート東京編)。

2.ジャングリア沖縄は「ガラガラ」でも、アトラクションは「満員」

筆者が「ジャングリア沖縄」を訪問したのは2025年12月11日(木)~13日(土)の3日間。この時期は沖縄県観光にとってシーズンオフにあたり、また、ジャングリア沖縄にとって7月開業後の人気が落ち着いた頃である。もちろん、「ガラガラ」が喧伝される中の訪問になるとは、訪問計画時には全くの想定外であった。筆者が購入したこの3日間のチケットは以下の通り。

・ 11日(木):2025年秋から発売された、午後から入場券(当日は14時から入園可能で、17時閉園まで3時間楽しめる)を購入。このチケットには1番人気アトラクション「ダイナソー サファリ」(ジャングリア沖縄のCMでおなじみの、恐竜テーマパークで脱走した恐竜に襲われるという体験ができるもの)の「プレミアムパス」(指定のアトラクションに来園前に時間指定して優先入場可能となるもの)と、園内の飲食クーポン(1,000円以上の利用で500円割引される)が無料で付与。さらに、他のアトラクションのプレミアムパス1枚を購入。

・ 12日(金):「アーリーパークイン」(15分早く入園できる。特定の旅行会社発売のオフィシャルホテル宿泊プランに含まれるもの)付1日入場券+「ジャングリアスパ」(ジャングリア隣接のスパで、別々の入場券が必要。両者は10分ごとの無料バスで送迎可能)入場引換券(ネット購入代金に加えて窓口で入湯税を追加で支払うシステム)+プレミアムパス3枚購入。

・ 13日(土):通常の1日入場券+プレミアムパス1枚を購入。

1日入場券も午後から入場券(プレミアムパス1枚付き)も同じ価格で6,930円。プレミアムパスは1,970円~2,640円。午後から入場券は入場可能時間がかなり短いものの、人気のアトラクション「ダイナソー サファリ」のプレミアムパスが1枚ついていて、その体験が確約されていることが大きな魅力である。
 このように、筆者は様々な入場形態を体験したが、結論からいえば、3日間連続で運営していなかった一部のアトラクション以外はほぼ体験できたこともあって、3日間ともに満足度は高かった。来園可能な時間から閉園時間頃まで3日間とも園内に留まり、事前の下調べに従って効率的にアトラクション巡りをしたため、暇を持て余すこともほとんどなく、どちらかといえば時間が足りないほどであった。
 はじめに断言できることは、スタッフの士気や能力は総じて高く、ホスピタリティに富んでいたことである。期間限定のスタッフも少なくなかったと思われるが、ほぼ全員が来園者からの質問に対して過不足なく答えてもらえ、例えば、限られた時間内でのアトラクションの攻略方法などのインフォーマル情報でさえも懇切丁寧な対応であった。開業から半年という限られた時間の中で、スタッフへの教育研修が行き届いていることには、頭の下がる思いで一杯であった。
 次に、予約なし・定員制限なしで楽しむことができるショー(ジャングリア沖縄では「フェス」や「パーティ」と呼ばれる)も、スタッフの練度の高さと構成の巧みさから、誰もが概ね楽しめるものであったといえよう。さらに、場内の飲食店について、屋内型レストランは混雑していたものの、それ以外の飲食店では混雑はあまり感じられず、かつ料金もいわゆるテーマ価格相当であって特に価格の高さは気にならず、十分に納得できるものとなっている。

その一方で、午後になれば場内にいる人は明らかに減っていて、喧伝されるような「ガラガラ」状態に見えるのは間違いない。この背景にはアトラクションの定員・予約・運行がある。
 まず、多くのアトラクションで定員が少なすぎる。来場者の多くが体験できるアトラクションは、1回あたり30人以上が体験可能な「ダイナソー サファリ」など、非常に少ない。特に、絶叫系のアトラクションはどれも体験可能人数が極めて少ない。例えば、筆者が体験した「ヒューマン アロー」(人が弓矢の矢になって飛ぶという新感覚を楽しむアトラクション)では、10分あたり1人、1時間当たり6人しか体験できない。スリル系のアトラクションは安全第一で、多数の安全装置を確実に着用する必要があり、その着脱・確認にスタッフの手助けが必要で時間がかかるため、多くの来場者に体験してもらうことは非常に難しい。

これらのスリル系アトラクション、11月下旬までは前出のプレミアムパス利用と先着で獲得可能な「整理券」利用で、定員が全て埋まっていた。プレミアムパスは2か月前に先着で発売され、当日分は開園時に並んでいる人がいち早く確保してしまう。前出のわずか15分前に入園可能なアーリーパークイン組が整理券の当日分全てを抑えてしまい、一般入場者は整理券にありつけない日も散見されたという。
 この整理券の配布方法は11月下旬で終わり、希望するアトラクションを選んだ抽選方式に変更された。筆者が来園した時には1日に3回抽選があり、午後からチケットではそのうち1回の抽選に参加できた。抽選の競争率は公表されていないものの、当選確率はあまり高くないと推察される。筆者は計7回の抽選で1度しか当選できなかった。
 整理券に期待できない場合は、「スタンドバイ」といわれる先着での行列に期待を寄せることになる。スタンドバイ方式を採用しているアトラクションは「ライド系」(乗り物に乗って楽しむタイプのもので、代表例は前出のダイナソー サファリ)とされるものに多くみられるが、こちらも比較的定員が少ないアトラクションが散見され、やんばるの自然を生かしたコースをカート運転できるため人気の「バギー ボルテージ」は待ち時間が長いことで知られる。それゆえ、行列OKのアトラクションでも早く入場した者以外は長い待ち時間となりがちである(待ち時間の間に違うアトラクションなどを楽しむことは可能)。
 プレミアムパスを事前に購入せず、のんびり入園してくるライトユーザーにとって、当日の整理券抽選に当選できず、長時間の行列もあきらめてしまえば、もはや手持無沙汰になるのは避けられない。ジャングリア沖縄はゴルフ場の跡地を開発したもので、かなり広いとはいえ、物珍しさから園内を一通り回ってしまえば、中には帰ってしまう客が大勢いてもおかしくない。実際に初日は午後からチケットで、那覇空港からのリムジンバスで到着した13時すぎから入場ゲートに張り付いて見学していたが、ゲートを出ていく客が結構な数に上り、驚いた。当日の開園は11時であったので、2時間ほどで出ていることになる(なお、ゲートを出てからジャングリアスパに行って、再入園することは可能である)。
 そのうえ、人気のアトラクションの運行状況にも大きな課題がある。例えば、12月段階で前出の「ヒューマン アロー」や3日間連続で訪問した筆者が体験できなかった「バンジー グライダー」は終日運航休止した日が目立つ。また、気球に乗船できるレア体験をウリにした、開業時の目玉アトラクション「ホライゾン バルーン」にいたっては、風次第ということもあって運行可能日が極めて少なく、筆者が来場した12月では1週間に1日程度の運行となっている。しかも、1日の中で運行できる時間帯も限定的だ。もはや、ホライゾン バルーンは体験どころか飛んでいるのも見ることができれば奇跡とさえ思えるほどだ。筆者は3日目に偶然にも運行可能となり、開場時に入園してすぐに整理券を確保し、14時頃にようやく体験できたものの、30分程度の所要時間で1回あたり20人程度しか体験できないことから、当日希望されても体験できなかった入園者が多数に上ったはずである。

このように考えると、事前に下調べを十分にして、人気アトラクションのプレミアムパスに惜しみなくお金を使えば、来園後も暇になることはあまりなく、レア度の高いアトラクションを体験することができる。その一方で、沖縄観光のついでにふらりと立ち寄るように、準備不足でなんとなく来てしまったとなれば、どのアトラクションも楽しめずに暇を持て余してしまい、早く帰ることになりかねない。これが、ジャングリア沖縄の「ガラガラ」だけど「満員」、とされる現実なのであろう。

3.少人数型アトラクションは満足度が高いが

ジャングリア沖縄は沖縄北部の豊かな自然と恐竜をテーマにした「没入型」テーマパークである。来園者総数に対して体験可能なアトラクションが足りない中、来園者はアトラクションを必ずしも体験せずとも「没入」してくれて満足してくれるのがこのテーマパークとして理想である。
 一方で、人気の少人数型アトラクションの多くはプレミアムパス購入者でソールドアウトとなっており、極めて少なそうな抽選枠しか残されていない。行列可能なスタンドバイ型アトラクションは、開園直後から、かなりの長時間並ぶことになる。そのスタンドバイ型のアトラクションもプレミアムパスを事前購入する者は長蛇の列を後目にほとんど並ばずに体験できる。つまり、攻略方法を事前に下調べして、お金にあまり糸目をつけずにプレミアムパスを事前に購入してくれるような準備万端なヘビーユーザーにとってはジャングリア沖縄に対する満足度が高い。筆者も下調べの結果、プレミアムパス購入が不可欠として、入念な計画のうえ、可能な限りの投資を惜しまなかったこともあり、満足度は非常に高かった。
 その一方で、少人数型アトラクションを体験できずに帰ることになるライトユーザーが、事前に十分な下調べをしなかったことを踏まえて、今度はプレミアムパスを事前に購入して満足するぞと再来園も考えられるが、満足に楽しめなかったことに懲りてもう来なくていいと思う者がたくさん出ても不思議ではなかろう。事前に攻略方法をあまり調べないようなライトユーザーにとって、ジャングリア沖縄は比較的敷居の高いテーマパークといえよう。
 このように、少人数型アトラクションの人気に依存するテーマパークには厳しい側面が見えてくる。少人数型アトラクションは少人数の利用者に圧倒的な満足度を提供してもう一度体験したいという、ヘビーユーザーを生み出す一方で、利用できない大多数の来園者に不満を残しかねないというリスクがある。ヘビーユーザーだけでテーマパークの運営を賄うには1人当たりの利用料金をかなりの高額に設定する必要がある。例えば、前出のヒューマン アローは10分で1人しか体験できないが、そこに張り付いているスタッフは5人程度存在する。ヒューマン アローのようなスリル系には十分な安全装置を準備し、スタッフに装着させてもらう必要があるからだ。これらのコストや圧倒的な満足感を考えると、来園者にとって入園料6,930円+プラミアムパスの2,640円は安すぎるが、適切な価格を設定するとすれば数万円にもなってしまうであろう。他の日本のテーマパークのアトラクションと比較してあまりに高すぎる値段となれば、トライアルのユーザーさえ遠ざけてしまう。つまり、少人数型アトラクションを軸に据えたテーマパークでは、少人数のヘビーユーザーが何度もリピートする一方、大多数のライトユーザーは敬遠していくリスクが残る。

4.大阪・関西万博のデジャブとジャングリア沖縄の挽回策

思い返せば、2025年開催の大阪・関西万博も似たような状況にあった。日本関係パビリオンを中心に少人数型アトラクションをウリにするパビリオンが多かった。それらのパビリオンの予約方法の複雑さもあって、来園者のかなりの多くを占める予約なし来園者のほとんどは、人気パビリオンを体験できないまま万博を後にするしかなかった。人気パビリオンに何度も通い、予約方法に精通したヘビーユーザーにとっては攻略可能であるが、ライトユーザーはヘビーユーザーには太刀打ちできない。実際に、開場の9時に来場できても会場でできることが限られてしまい、強い日差しを遮るスペースが限られる中、早い時間に会場を後にする者も少なくない状況であった。まるでジャングリア沖縄の「ガラガラ」だけど「満員」は、大阪・関西万博のデジャブと思えるほどだ。
 そんな大阪・関西万博の危機を救ったのが、人気パビリオンの予約枠を当日来場者の多くに開放する「ガンダム方式」と呼ばれた、日に何度も行われる予約枠開放方式であった。また、予約なしでも行列すれば見学できる海外パビリオンと、予約なしでも誰もが体験できる大屋根リング、噴水ショー、ドローンショーであった。これらに焦点をあてて、人気パビリオンの体験にこだわらない来場者向けに用意されたのが16時から来園できる割引チケットで、会期中に大きな人気を呼んだ。
 大阪・関西万博を考えると、ジャングリア沖縄にも挽回の可能性は十分にあろう。まず、予約なしに体験できるフェスやパーティなど(大阪・関西万博のショーに該当)の数を増やすことだ。特に、「スプラッシュ フェス」は水と泡にまみれる沖縄の暑さを利用したショーであり、子どもから大人まで楽しめるものだけに、午後一回だけ開催となっているのが惜しい。人気アトラクションの予約が取れなかった入園者向けに午前中にも一回開催されてもいいのではないだろうか。
 また、大阪・関西万博では夜景や夜のショーでライトユーザーを掴んだことを考えると、ジャングリア沖縄も夜のアトラクションやフェス・パーティなどは充実させるべきであろう。人気のダイナソー サファリがナイトバージョンを行うようになったことは望ましいことで、他のアトラクションにも拡大したい。そもそも夕刻以降はスタンドバイ型アトラクションの行列が比較的短くなりがちなので、午後からの来園はおすすめといえる。そのような時間帯を狙ったものとして、2025年秋より導入された13時(もしくは14時。時期による)から入園可能な「特典付き午後チケット」がある。特典となるアトラクションを増やすなど魅力を拡大しながら、午後入園のメリットをもっとアピールすべきであろう。
 さらに、花火などが行われるナイト・フェスは予約不要のショーであるが、残念なのは各種公共バスを利用する者にとって体験できない時間に開催されていることだ。せめて、ナイト・フェスが終わる時間帯の公共バスを用意すべきであろう。

超人気のアトラクションの整理券抽選も工夫すべきであろう。当初、プレムアムパス購入者以外では、整理券配布が早い者勝ちとなっていた。そのため、大手旅行会社経由の宿泊予約にのみ利用可能な「アーリーパークイン」(15分早く入園できる)で整理券はなくなってしまうことが何度も見られ、アーリーパークインできずに、プレミアムパスを購入できなかった来園者の不満が高かった。2025年11月終わりから、整理券は基本的に抽選となり、一日で3回抽選されるようになったのは望ましい。できれば、大阪・関西万博の「ガンダム方式」のように、抽選回数をもう少し増やして、現在1回しか抽選に参加できない午後チケットでもせめて2回は抽選に参加できるようにしてほしい。
また、一番人気のダイナソー サファリのように、並べば基本的に体験可能なスタンドバイ系アトラクションをもう少し増やすべきである。2026年5月には一度に体験できる人数が約50人という新型アトラクション「やんばる トルネード」が登場するが、少人数型整理券方式のアトラクションばかりのスリル系の中で、唯一スタンドバイ型アトラクションとなる予定である。このような、並べば大勢が体験できるアトラクションを新たに増やすことは少人数型アトラクションが生む弊害を緩和できるよう。今後の追加投資では、やんばる トルネードに続く、多人数が一度に体験可能なアトラクションのさらなる増加に期待したい。

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