シティ・モビリティ

外国人増加が日本の生産年齢人口の減少を緩和
~国勢調査による日本人口の特徴①~

上席研究員 岡田 豊

2025年の国勢調査人口等基本集計によると、人口が大きく減少している。2020~2025年にかけて▲317万人であり、市町村では二番目に大きい大阪市を超える水準だ。このうち、日本人人口は1億1913 万で、2020 ~2025年に▲427万人、▲3.5%である一方、外国人人口は過去最高の384 万人で、2020~2025年に+109 万人、+39.8%の大幅増加となっている。外国人人口の増加は、特に生産年齢(15~64歳)人口の減少を大きく緩和している。コロナ禍による2022年までの外国人の入国制限を考えると驚異的な増加ペースであり、このペースが続くとすれば、今後の日本人の生産年齢人口の減少は緩和されよう。
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1.はじめに

総務省統計局より9月29日に2025年の国勢調査の人口等基本集計が発表された。国勢調査の確定値としては第一弾となる。今後、就業状態、移動人口、従業地・通学地などに分けて公表される予定である。
 国勢調査は日本に住んでいる全ての人と世帯を対象にして、5年に一度実施される。国勢調査で得られる人口統計は各種の行政データの基盤となるもので、国勢調査結果を元に進められている各種の行政施策に大きな影響を与える。また、企業のビジネスにとっても市場開拓やマンパワー確保などにおいて、社会経済の基礎となる国勢調査の人口統計は重要である。そこで今回は、国勢調査の人口等基本集計から、日本全体の人口の特徴を考察する。
 また、地域別人口の動向に関しては、別稿「Insight Plus 大都市で人口減少は進むも、集中度は高まる~国勢調査による日本人口の特徴②~」を参照して欲しい。
 なお、2025年の国勢調査の結果として人口速報集計が2025年5月に公表されているが、それに比べて確定値にあたる今回の人口等基本集計は多くの項目でわずかに小さめの数値となる傾向があることに留意したい。例えば、日本の人口では人口速報修正が1億2304万人9524人であるのに対し、今回の人口等基本集計は1億2297万2528人で、約8万人、0.06%少ない。

2.加速する日本の人口減少

2025年の日本の人口は1億2297万人で、2020~2025年に▲317万人、▲2.5%となった。2015~2020年が▲95万人、▲0.7%であったことから、人口減少がかなり加速している(図表1)。317万人といえば、市町村では日本で二番目に大きな人口を抱える大阪市(2025年281万人)を超える水準となる。5年ごとの国勢調査の度に大阪市のような大都市一つが無くなるほどの大きなインパクトといえる。
 今後もさらに人口減少が加速していく可能性が高い。2025年の国勢調査結果を反映した国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口はまだ発表されていないので、2020年の国勢調査結果を反映した2023年推計(出生中位・死亡中位。2020~2070年を推計)を見ると、今後も日本の人口は減少し続け、5年ごとの人口減少数と人口減少率は拡大基調となる。例えば、2065~2070年は▲460万人、▲5.0%で、2020~2025年に比べればかなり大きな水準になってしまう。特に減少規模は都道府県別人口ランキング第9位の北海道(2025年498万人)に匹敵する大きさだ。

≪図表1≫1920~2025年の日本の人口と人口増加率

(出典)総務省統計局「国勢調査報告」(各年版)より、SOMPOインスティチュート・プラス作成

3.少子化は想定以上に進む

現在の日本の人口動向にとって、少子化と外国人の影響を見極める必要がある。まず、2021~2025年の出生数について、国立社会保障・人口問題研究所の2023年推計と実際の数値を比較してみよう(図表2)。
 2021~2025年の出生数は2023年推計より少なく推移している。特に、70万人割れが話題になった2024年と2025年は、2023年推計と実際の数値の間に9~10万人という大きな差が生まれている。2025年の婚姻数はここ数年の反動もあって久しぶりに増加したため、2026年以降の出生数はわずかに増加する可能性はあるものの、今後の出生数の継続的な増加は期待薄である。結婚と出産の意欲が低下しているからだ。国立社会保障・人口問題研究所が2026年9月11日に公表した「第17回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」(出生動向基本調査は国勢調査と同じ5年に一度行われている)によると、18~34歳の未婚男女のうち、「一生結婚するつもりはない」と回答した者は、男性で24.0%(前回調査比6.7ポイント増)、女性で21.5%(同6.9ポイント増)と、ともに初めて2割を突破した。夫婦の予定子ども数は1.95人(前回調査2.01人)となり、これも初めて2人を下回っている。

≪図表2≫出生数(2021~2025年)における、2023年推計と実績

(注)2023年推計は出生中位・死亡中位。

(資料)厚生省「人口動態統計」(各年版)、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来人口推計(2023年推計)」より、SOMPOインスティチュート・プラス作成

4.外国人の想定以上の増加は日本の人口減少を緩和

次に、2021~2025年の外国人の入国超過数を見てみよう。厳しい入国制限のあった2022年までと違い、2023年以降は外国人の入国超過数が伸びて、30万人前後で推移しており、2023年推計で仮定された16万人の約2倍になっている(図表3)。
 実際に2025年の国勢調査を日本人と外国人に分けて見ると、日本人人口は1億1913 万で、2020 ~2025年に▲427万人、▲3.5%となっている。一方、外国人人口は過去最高の384 万人で、2020~2025年に+109 万人、+39.8%の大幅増加となっている。コロナ禍の入国制限が緩和された2023~2025年のわずか3年間で驚異的な増加といえる。2023~2025年の増加ペースが今後も続くのであれば、5年の国勢調査の度に福岡市(2025年166万人)と同水準の外国人の増加が見込まれる。つまり、出生数において想定外の減少があったものの、外国人入国超過数において想定を超える増加があり、人口減少が緩和されたといえよう。

≪図表3≫外国人入国超過数(2021~2025年)

(出典)総務省統計局「国勢調査報告」(2025年)より、SOMPOインスティチュート・プラス作成

5.外国人増加は主に生産年齢人口の減少を緩和

このような外国人の増加は国立社会保障・人口問題研究所の2023年推計の推計値と国勢調査の実績値の差に顕著に表れている(図表4)。まず、年齢計の人口については、2020~2025年に2023年推計では▲288万人であったのに対し、実績値では▲317万人と減少幅が拡大している。
 次に、年齢別で見ると、2020~2025年の年少人口(14歳まで)は、2023年推計で▲140万人に対して実績値が▲168万人と、減少幅が拡大している。また、2020~2025年の老年人口(65歳以上)は、2023年推計で+50万人に対して実績値が+12万人で、増加幅が縮小している。2020~2025年の後期高齢者(75歳以上)も、2023年推計で+295万人に対して実績値が+257万人で、増加幅が縮小している。
 一方、2020~2025年の生産年齢人口(15~64歳)は、2023年推計が▲199万人に対して実績値が▲161万人で、減少幅が縮小している。増加している外国人は主に生産年齢人口に該当する者となっているからであろう。

≪図表4≫年齢計・年齢別人口における国立社会保障・人口問題研究所の2023年推計の推計値と国勢調査の実績値

(注)2020年実績値、2025年実績値は共に年齢不詳分を案分した不詳補完値。2025推計値は国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口2023年推計」の出生中位・死亡中位推計値

(出典)総務省統計局「国勢調査報告」(2025年)より、SOMPOインスティチュート・プラス作成

このような状況から、2025年の国勢調査の結果を踏まえて国立社会保障・人口問題研究所から今後公表される将来推計人口に注目したい。今後の年齢計人口の動向は、外国人増加の影響が当面は小さく、減少が加速している年少人口や増加が縮小している老年人口と、外国人増加の影響が大きく、減少が緩和している生産年齢人口との兼ね合いとなる。2020~2025年の外国人の大幅増加の影響により、今後の年齢計人口は前回の2023年推計を上回る可能性があるからだ。
 図表3で見たように、コロナ禍のため、外国人増加の影響は3年間に限られた。コロナ禍がなければ2020~2025年の外国人増加はより大規模であったはずだ。2025年の年齢計の人口は、実績値が推計値を29万人下回っているが、コロナ禍がなければ実績値が推計値を上回っていた可能性がある。
 現在、高市政権では外国人の総量規制が議論されているなど、外国人の政策の行方は流動的である。しかし、仮に毎年の外国人増加数が2023年推計の倍という状況が今後続くとすれば、次回の将来推計人口では今後の外国人増加数が大幅に上方修正されるであろう。当面は、外国人増加の影響が少ない年少人口と老年人口の下方修正分を、外国人増加による生産年齢人口の上方修正分が上回り、日本の年齢計の人口も2023年推計より多くなる可能性もあろう。さらに、長期的な視野に立てば、生産年齢人口における外国人の増加は日本での世帯形成を通じて年少人口を増加させ、就業を終えた後も日本で高齢期を迎えるのであれば老年人口の増加にもつながる可能性があろう。つまり、現在の外国人の増加は今後の日本の人口に大きな影響を与える可能性が高いと推察される。

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