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2020年9月30日発行 Vol.77       ニュースリリース(未来研レポートVol77発刊)

  内 容 (PDFにて全文閲覧できます。)
 
掲載論文:

1.新型コロナウィルスによるパンデミック発生と事業継続リスク
〜ソリューションを求めて〜

 

2.コロナ時代のESG投資がD&Iの進展を加速する
〜D&Iの課題とESG投資の潮流〜

 

3.ポストコロナ時代の都市とモビリティ
〜ドイツの都市を巡る一考察〜

 

4.デジタル課税
〜議論の本質から紐解く〜

  5.民事信託を活用した高齢者の財産管理支援の展望
 

6. なぜ日本では認知症有病率・発症率が増加しているのか?

 

7.米国損保のCX強化・新たなチャネルの動き

 

8.米国損害保険市場の動向
〜2019年実績とソーシャルインフレーションの現状〜


 
新型コロナウィルスによるパンデミック発生と事業継続リスク
〜ソリューションを求めて〜(PDF1.4MB)
   
 

= 要 約 =
執筆者:上席研究員 海老ア 美由紀

   
 

T.はじめに
新型コロナウィルスにより、中小企業を中心に莫大な経済的損失が生じ、パンデミックによる事業継続リスクの認識が変わった。欧米において損害保険による補償ニーズが高まるが、実際に損害保険によって都市封鎖による事業損失に対し補償がなされた例はそれほど多くなく、補償ギャップが明らかになった。そこで、損害保険でパンデミックリスクを取り扱うときに何が課題となり、現在どのように対処することが考えられているのかについて2020年8月までの公開情報を基にまとめた。

U.新型コロナウィルスで明らかになった事業継続リスクの補償ギャップ
新型コロナウィルスの感染拡大防止のため世界各国で都市封鎖が行われ、特に中小企業は大きな経済的損失を被った。欧米では事業継続保険で補償されることを契約者は期待したが、多くの事業継続保険契約で担保範囲外とされ、補償ギャップが明らかになった。

V.パンデミックによる事業継続リスクに民間の損害保険で対処できるか
これまでパンデミックリスクを担保する保険に対する需要は低く、保険会社もパンデミックリスクの引受けには慎重であった。パンデミックリスクの認識が高まり、事業収益の減少を補償する保険が求められている。しかしその損害は巨大になると予想され、支払能力の観点から民間保険単独では難しい。

W.ソリューションを求めて
パンデミックを担保する事業継続保険にはさまざまな課題があり、各国ではこれらを乗り越えて将来のパンデミックに備えるよう、官民が連携し検討が進められている。また、パンデミックを対象とするパラメトリック保険も開発されている。

X.おわりに
新たな保険のしくみを構築するには課題も多いが、官民が協力し、長期的な視点でより望ましいしくみを検討していくことが必要ではないか。新型コロナウィルスは世界経済にとって危機であるが、新たなリスクシェアリングのしくみを作るきっかけとなるのではないか。

   
 

コロナ時代のESG投資がD&Iの進展を加速する
〜D&Iの課題とESG投資の潮流〜(PDF2.0MB)

   
 

= 要 約 =
主任研究員 大島 由佳   主任研究員 大沢 泰男

   
 

T.はじめに
新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、ESG投資の3要素の中で、Social(S=社会)への関心が高まっている。中でも、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)に注目し、D&Iと企業価値やリスクとの関係に関する研究も進んでいる。他方、様々な角度から重要性が指摘されてきたD&Iはいまだ発展途上の課題である。本稿では、D&Iの現状を紐解いたうえで、コロナ時代のESG投資がD&Iの進展を加速することへの期待と、そのための課題を示したい。

U.日本企業にD&Iが求められる理由・背景
D&Iは、政府、企業、働く人々それぞれの立場からその重要性が指摘されている。その背景には、労働力の確保、イノベーション創出、社会的要請の3つの側面がある。

V.D&Iの歴史的経緯と昨今の状況
海外のD&Iへの取り組みに係る経緯や現状を整理すると、日本のD&Iが進まない背景に日本独自の雇用慣行や働き方の存在があり、これらが日本企業のD&Iに対する戦略課題への意識を削いでいると考えられる。そこで、社会的要請や企業経営への在り方を企業に伝える立場にいる投資家に着目する。

W.ESGにおけるS及びD&I
財務指標からは見えにくい企業価値への貢献やリスク軽減につながるとの発想に基づき、D&I を含めた幅広い要素から企業価値を測るESG投資は年々拡大し、企業経営に大きな影響を与え始めている。新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、投資家はD&Iの要素を含むSにも着目し始めており、SやD&Iが企業価値などに与える影響がますます重要視されていく環境になっている。

X.ESGにおけるD&Iの課題
ESG投資とD&Iとの結びつきをさらに強めるために、今後は情報開示の充実とともに、企業と投資家との対話が重要になる。企業価値の向上を通じて、企業・投資家の双方は利益を享受しうる。

Y.おわりに
不確実性が高い時代においては、事業環境の変化に柔軟に対応できる企業が様々なリスクを低減し、企業価値の向上を実現していく。ESG投資家には、これまで重要性が指摘されつつも動かなかった企業におけるD&Iの進展を加速させる役割が期待される。D&Iへの取り組みが遅れていた企業も、D&Iの持つメリットを理解し、推進していくことが改めて求められている。

   
 

ポストコロナ時代の都市とモビリティ
〜ドイツの都市を巡る一考察〜(PDF1.9MB)

   
 

= 要 約 =
主任研究員 新添 麻衣

   
 

T.はじめに
本稿はドイツの都市に焦点を当て、コロナ禍を経た市民のライフスタイルの変化が、ポストコロナの都市とモビリティにいかなる影響を与え得るのかを執筆時点において集められたファクトから展望してみようというものである。

U.COVID-19の流行と移動規制

感染者の発生状況や感染拡大防止策の概要をまとめた。3月中旬から5月上旬にかけての2か月弱が市民に最も厳しい移動制限が課された期間であったが、制限が緩和された現在もソーシャルディスタンスの確保やマスクの着用などの衛生対策は引き続き求められている。

V.withコロナからポストコロナのライフスタイルへ
都市における三大移動需要である就労、買い物、レジャーについて、コロナ禍の影響による市民のライフスタイル変化を追った。就労面では在宅勤務やWeb会議の導入、プライベートではEコマースの利用のほか、近隣住民の買い物代行といった助け合いにより移動需要の低減が認められた。ただし、食料品の購入では市民はすすんで店頭に足を運んでおり、安全性、新鮮さなどへの志向の高まりから、地産地消に貢献したいと考える消費者の増加が認められた。

W.ポストコロナの都市とモビリティ
前章のライフスタイルの変化を受けて、外出頻度や移動距離が低減した市民が一定存在することが確認された。自転車や徒歩による移動が増加したことにより都市空間の再配分が起きようとしている。短期的には車道など自動車のためのスペースの、長期的には市内中心部の商業地区やオフィス街の土地利用の見直しに繋がりそうである。また、環境政策の観点からマイカーの代替移動手段となるべく、近年多額の資金を投じて拡充が進められている公共交通機関の重要度が低下する可能性がある。

X.おわりに
ポストコロナ社会では市民の活動がバーチャル空間である程度代替されるため、現実の世界での移動需要に変化が起こることは論を俟たない。居住地密着型でコンパクトかつスマートに暮らすことがポストコロナの都市における1つのトレンドとなり、都心部ではまちづくりの変化も予期される。マイカー主軸から公共交通機関を主軸に転換しようとしていたドイツの都市交通政策は見直される可能性がある。

   
 

デジタル課税
〜議論の本質から紐解く〜 (PDF1.0MB)

   
 

= 要 約 =
フェロー 隅山 正敏

   
 

T.はじめに
デジタル企業に対する課税(デジタル課税)は、検討の起点となった「租税回避」に目を奪われ、本来の論点である「どの国が課税すべきか」に日が当たっていない。本稿では「デジタル企業の所得(利益)のどの部分にどの国が課税すべきか」というデジタル課税の本質的な問題を紐解く。

U.デジタル企業は現地で租税を負担すべきか
デジタル企業は「現地に拠点を置くことなく」大規模に海外事業を展開するが、進出先の国での租税負担(所得課税)は、事業規模に比して僅かなものに止まる。デジタル企業の所得(利益)は、自社開発のビジネスモデルからもたらされる部分が大きいであろうが、消費者が「利益の上乗せ」に貢献するケースは存在する。その場合、消費者所在国が「上乗せされた利益」に対して課税することが「公正な租税負担」となる。また、同じビジネスモデルを採用する国内企業との競争条件の公平性を保つこともできる。ただし、消費者は殆どのケースでデジタル企業に何かを支払うことをしておらず、「消費者」と「企業所得(利益)」を橋渡しする「ロジック」が必要となる。

V.デジタル課税を阻む「ネック」は何か
現在の国際課税ルールは、消費者所在国が「自国に拠点(PE)を置いてない」外国企業に法人税を課すことを認めておらず、「PEあり」と認定されて初めて「そのPEに関連する所得(PE帰属所得)」に課税することになる。消費者所在国がデジタル企業に課税するためには、@企業が自国で事業を遂行していると言い得るロジック(PEに代わる概念:ネクサス)、A企業の所得(利益)が自国で生じていると言い得るロジック(PE帰属所得に代わる概念)の2つが必要であり、また、実務的には「全世界所得」を起点として「自国に帰すべき所得」を特定する作業が必要になる。更に、租税回避問題の最後の抜け穴(低課税国への対応)を塞いで実際の税収に結び付ける必要もある。

W.デジタル課税の検討はどこまで進んでいるか
欧州主要国が強力に後押しして、140カ国の参加する国際協議と、EU加盟国の参加するEU協議が同時並行的に進んでいる。国際協議では、自国企業狙い撃ちを警戒する米国が欧州主要国と対峙しつつ「2020年末」期限の協議が進んでいる。EU協議では、低課税を武器に企業誘致を進めてきた国が主要国と対峙する中で、国際協議をリードするための意見調整が進められている。国際協議の進展に不満を持つ国が独自のデジタル課税を導入するという波乱要因も加わって、行く末が見え難くなっているが、殆どの参加国の税収増に繋がるだけに年内合意も不可能ではない。

X.おわりに
ポイントは、@デジタル課税では消費者がデジタル企業に対価を支払っていないにも拘らず消費者所在国が課税するという「捩れの関係」を橋渡しする必要がある、A従来の「富が形成されて利益が生まれる」という説明に代えて「価値が形成されて利益が生まれる」という説明が「橋渡し」となる、B通常所得・本国由来所得・市場国由来所得という3分法における市場国由来所得が課税対象となる、C市場国由来所得は大きいものでなく期限内合意は不可能ではないという4点である。

   
 

民事信託を活用した高齢者の財産管理支援の展望 (PDF1.5MB)

   
 

= 要 約 =
主任研究員 岡島 正泰

   
 

T.はじめに
高齢化に伴い身近になっている認知症と共生する手段の一つとして、高齢者が親族等に財産管理を任せるといった方式の民事信託の活用が進んでいる。

U.信託の概要と信託法改正の経緯
信託は、財産を特定の者に託し自分が決めた目的に沿って運用・管理してもらう、財産管理のための制度である。信託の受託者に財産が譲渡され、それに伴い受託者に厳しい義務と責任が課される点に特徴がある。2006年に信託法が改正され、高齢化の進展に伴い深刻化している高齢者の財産管理に関する課題に対し、民事信託を活用しやすくなった。

V.高齢者が直面する財産管理上の課題と支援制度の状況
加齢に伴う認知能力低下により、高齢者は様々な財産管理上の課題に直面する。成年後見制度等の支援制度が整備されているが、現在の支援制度は十分に普及していない。認知能力が低下する前の利用契約締結の必要性や金銭的負担が普及を妨げている可能性がある。

W.民事信託への期待と課題
民事信託が、高齢者の財産管理上の課題に応える新たな手段として注目されている。他の支援制度と比較して、民事信託には高齢者の金銭的負担を軽減する効果等が期待できる。一方、信託契約締結を支援する専門職等の支援体制の不足や、認知能力が低下する前の契約の必要性等が普及を妨げていると考えらえる。

X.高齢者の財産管理における民事信託の展望
民事信託の普及を妨げる課題の解消に向けた取組みが、高齢者の財産管理に関係する様々な主体により進められている。専門職の育成、IT技術の活用により民事信託を利用しやすくする取組みや、高齢顧客と接点を有する幅広い業種の企業等と専門職等が連携し、認知能力低下前の契約を促す取組みが進められている。

Y.おわりに
今後も認知能力が低下した高齢者の増加が見込まれる。民事信託の分野には、金融商品や富裕層向けの財産管理サービスを提供する業態だけでなく、IT技術を有する企業や、高齢顧客との接点を有する企業等にとっても事業機会が期待できると思われる。

   
 

なぜ日本では認知症有病率・発症率が増加しているのか? (PDF1.9MB)

   
 

= 要 約 =
主任研究員 高杉 友

   
 

T.はじめに
最近の先進国による認知症有病率・発症率の傾向を概観し、認知症発症に影響を与える生物学的・社会・環境要因を整理し、日本の認知症発症率増加の背景・要因について記す。

U.世界の高齢化に関する統計データ
日本だけではなく、世界で人口の高齢化が加速している。それに伴い、認知症高齢者の急増が社会的な課題となっている。

V.先進国の認知症有病率・発症率の傾向
欧米諸国では過去数十年間で認知症の有病率が2割〜6割、発症率が2割〜4割低下したという報告が続いている。一方、日本では認知症の有病率・発症率が増加している。

W.認知症発症に影響を与える要因
欧米諸国の認知症の有病率・発症率低下の要因として、疾病管理の改善、健康行動の推進のような生物学的な要因が挙げられた。このほか、社会経済的な要因、知的活動、環境要因と認知症リスクとの関連も確認された。一方、日本では、糖尿病の増加、西洋風の食事形式の拡大、運動習慣の欠如といった生物学的な要因が大きいことが示された。このほか、急速な高齢化・長寿の影響、第二次世界大戦後の社会経済的な状況の急激な変化のような人口動態及び時代・歴史的背景の観点から認知症リスクの要因を確認した。最後に、認知症リスクが高まっている社会的孤立に陥っている人が日本に多いことを示し、その対策として地域の社会参加が認知症リスクを下げることを示唆した研究を紹介した。

X.おわりに
日本でも疾病管理及び健康行動の改善を図る公衆衛生政策を推進する必要がある。年齢が若い高齢者ほど、学歴などの社会経済的状況が向上していること、就労など高齢者の社会参加が増えていくことなど、社会要因の向上が考えられ、今後、日本でも認知症の発症率が下がる可能性はある。社会的孤立を抑制するために地域の社会参加を増やす取組みは、国・地域レベルの社会政策として捉えることが重要である。

   
 

米国損保のCX強化・新たなチャネルの動き (PDF1.5MB)

   
 

= 要 約 =
主任研究員 廣岡 知

   
 

T.はじめに
本稿では、世界最大の損保市場である米国における販売チャネルの最新動向を紹介する。第U章にて、コロナ禍の影響も含めた米国の消費者全体の購買トレンドの変化を小売業全体のデータから概観し、主要な小売事業者の取組を紹介する。第V章以降では、消費者の購買トレンドの変化に対応する米国損保におけるチャネル再編やCX(カスタマーエクスペリエンス)強化の動きをとりまとめる。

U.消費者トレンドの変化・小売業界の動向
米国では、コロナ禍により消費者のオンライン購買が加速し、また購買トレンドも変化している。Amazonのようなeコマースが伸長する中で、一部の実店舗中心の小売事業者ではデジタル技術を活用してCX向上をはかり、実店舗の強みとオンラインを組み合わせて売上を伸ばしている。

V.損保におけるオンラインシフト・InsurTech出現
個人自動車保険では、ダイレクト・レスポンス(直販)が大きく伸びてきており、オンラインにシフトしている。代理店チャネルの強いホームオーナーズ保険でも、InsurTechが出現し、高いCXを提供している。

W.保険会社のデジタルへの注力、課題
保険会社も、小売業界同様、ここ数年デジタル化に取り組んできた。しかし、販売体制が代理店中心ということもあり、電話・メールによるコミュニケーションでは顧客の期待水準を一定充足しているものの、Webサイトやオンラインチャット等の接点については消費者のトレンド・期待水準に対応できていない。

X.CX強化・新たなチャネルの取組み
損保においても、最近ではCX強化の意識が高まり、取組が進んでいる。また、商品に関わる情報を比較検討したいという消費者の意識・行動の変化と相まって、独立代理店が注目されてきており、NationwideやAllstateは新たなチャネル再編の動きを見せている。

Y.コロナ禍を踏まえた加速、さいごに
損保においても小売業にみられるように、コロナ禍により加速する消費者のトレンドの変化を捉え、顧客に対応する販売チャネルを再編・構築し、CXを高めることは不可欠である。保険は目に見えない、且つ、複雑な商品であり、代理店を主要チャネルとする保険会社では、顧客に対してアドバイスや情報提供を行い、デジタル技術を活用して顧客の利便性を高めることが勝ち残っていくために必要である。

   
 

米国損害保険市場の動向
〜2019年実績とソーシャルインフレーションの現状〜 (PDF1.5MB)

   
 

= 要 約 =
主任研究員 堀田 周作   副主任研究員 藤沢 美穂

   
 

SOMPO未来研究所では毎年、米国損害保険市場の最新動向をまとめている。2019年の米国損害保険市場の正味収入保険料は 6,379 億ドル(増率+3.2%)となり、自然災害による損失が平年を下回ったこと等から市場全体の保険引受利益は77.4 億ドルとなった。また、本稿では、賠償責任保険等の引受、収支等に影響を及ぼすソーシャルインフレーションの現状を取り上げている。

   
 

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